芸能人がアパレルブランドを立ち上げるのは今や珍しくありませんが、その寿命は短命と言われることも少なくありません。
今回は、3人の元アイドルが手掛けたブランドを比較しながら紹介します。
ブランドの裏にある構造的な理由を知ると、芸能人ビジネスの難しさと戦略性がよく見えてきます。
伊藤千晃「KIKI AND DAYS」
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Via|Instagram「伊藤 千晃/@kikichiaki」公式より引用
- 出身地|愛知県
- 誕生日|1987年1月10日
AAAの元メンバー・伊藤千晃さんがプロデュースしたライフスタイルブランド「KIKI AND DAYS」、デビュー当初はファンを中心に支持を集め、3年間展開されていました。
しかし2022年、伊藤さんはブランドの無期限休止を発表、その理由として「フェムテックの勉強を深め、新しい方向性を模索したい」と語っています。
とはいえ、アパレルジャーナリストの多くは「実質的な売上不振が原因」と分析しており、伊藤さんのようにファッションを本業としないタレントが、シーズンをまたぐ商品量やトレンド提案を安定的に供給するのが難しいという構造的な問題もあります。
しかし、伊藤千晃さんのブランドは、休止後2年ぶりの限定復活を果たします。
復活後の商品は素材・デザインともに強化され、ユニセックス性や世界観がより明確に初期よりもブランドとしての軸が強くなったことが、ファンの熱量を再び高める要因となりました。
伊藤さんの場合、休止 → 勉強 → 再設計 → 復活、という珍しいパターンで、課題を認識し改善できた学習型ブランドと言えます。
篠田麻里子「ricori」
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Via|Instagram「篠田麻里子/@shinodamariko3」公式より引用
- 出身地|福岡県
- 誕生日|1986年3月11日
元AKB48・篠田麻里子さんがプロデュースした「ricori」は、芸能人アパレルブランド史でも急速に失速した例として語られます。
2012年のデビュー時は話題が集中し、オープン初日には300人以上の行列ができるほど人気でしたが、翌年には経営体制の変化が起き、内部役員の独立や事業移管による混乱が発生します。
人気の勢いとは裏腹にブランドの方向性は迷走していき、さらに商品価格が高くターゲット層とのミスマッチが起きたほか、在庫過多・店舗運営のずさんさも問題化しました。
最終的には、運営会社リゴレが営業停止し、自己破産の見込みと報じられました。
篠田さん自身はブランドの経営に深く関わっておらず、負債を抱えなかったとされますが、「夢だったアパレルブランドが突然消える」という結末はファンからも衝撃をもって受け止められました。
ricoriが失敗した主な理由は、MD(マーチャンダイジング)が機能していない、組織体制が不安定、ターゲットと価格の不一致、継続的な型数が用意できないなど、単なる売れない以上の構造的な欠陥にあったと言えます。
小嶋陽菜「Her lip to」
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Via|Instagram「HARUNA KOJIMA/@nyanchan22」公式より引用
- 出身地|埼玉県
- 誕生日|1988年4月19日
同じ元AKB48でも、小嶋陽菜さんが手掛ける「Her lip to」はまったく逆、芸能人ブランドでは異例と言えるほど長く成功を続けています。
その理由は、既存のタレントブランドとは全く異なる設計にあり、第一に小嶋陽菜さんが自らブランドの世界観そのものになっている点です。
SNSでの見せ方、モデルとしての魅せ方、商品の表現方法など、彼女が発信するすべてがブランド価値を作り上げています。
また、小嶋さん本人がイベント後に必ずチームで振り返りを行い、運営改善を続けていることも専門家から高く評価されています。
さらに、小嶋さんは新会社を立ち上げ、社員40人規模で運営、IT出身メンバーとクリエイティブチームを融合させ、本格的なブランド経営をしている点も大きい特徴です。
つまり小嶋さんの場合、芸能人がやっている副業ブランドではなく、本物の企業型アパレル運営に昇華していることが成功理由と言えます。
まとめ
同じ芸能人プロデュースでも、ブランドが向かう未来は三者三様です。
成功と失敗を分けるのは、知名度ではなく、ブランドをどう育てるかという姿勢にあるのかもしれませんね。
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