私たちは映画やテレビで、宇宙船の中から突然吹き飛ばされるシーンを見て「それがもし自分だったらどうなるの?」と想像することがありますね。
しかし、本当にそんなことが起きたら、どのような結果になるのでしょうか?
それでは、人間が宇宙空間に放り出された場合の体への影響について、具体的な時間軸に沿って解説していきましょう。
宇宙空間に放り出された時の影響
一瞬〜10秒
突然宇宙空間に放り出された瞬間、まず感じることは、何もない「真空」状態です。
地球上の大気がなくなり、周りは完全に無音となります。
同時に、体は宇宙線にさらされます。
これらは地球の大気や磁場によってほとんどが遮蔽されるのですが、無防備な状態では体にダメージを与える可能性があります。
また、息をすることができなくなります。
そのため、肺の中の酸素がすぐに使い果たされるでしょう。
しかし、10秒以内ならば意識を保つことができます。
10秒〜1分
10秒以上経過すると、意識を失い始めます。
酸素不足で脳が働かなくなり、次第に意識が薄れていきます。
この間に、体の水分が真空状態で蒸発し始め、皮膚や舌が膨張します。
1分〜2分
1分以上が経過すると、酸素供給が途絶え、全ての細胞で酸素不足が起きます。
これにより細胞は機能を停止し、細胞内の水分も蒸発します。
体が膨張し、身体にダメージが増えます。
しかし、これは映画のような「爆発」ではなく、”膨張”です。
人間の皮膚は意外と頑丈で、体内の圧力により破裂することはないでしょう。
ただし、無防備な状態で宇宙線に晒され続けると、細胞に大きなダメージを与えることになります。
2分〜3分
この段階で、血液中の酸素がほぼ全て使い切られ、人間の体は機能を停止します。
生命維持に必要な酸素がなくなると、心臓の鼓動は停止し、脳死状態に移行します。
この時点で、宇宙空間に放り出された人間は生存することはほぼ不可能になります。
3分以降
3分を超えても宇宙空間にいると、体は徐々に冷却されていきます。
ただし、宇宙空間は「真空」状態なので伝導や対流による熱の喪失がありません。
そのため、冷凍状態になるまでにはかなりの時間がかかると予想されます。
この間、紫外線や宇宙線による放射にさらされ続け、体は徐々にダメージを受け続けます。
まとめ
これらはあくまで理論的な話で、人間が宇宙空間に放り出される可能性は極めて低いです。
さらに宇宙活動を行う際には厳重な安全対策が行われますので、心配することはありません。
宇宙は未知の世界で、その魅力に引き寄せられるのは自然なことですが、その一方で宇宙空間は人間が生きていくための環境とは大きく異なります。
宇宙空間は極端に厳しい環境であることを理解し、その上で我々が宇宙を探索し、理解し、活用するためには科学的な知識と十分な準備が必要です。
未知への冒険は素晴らしいことですが、そのリスクも理解しておくことが重要です。
あわせて読みたい