地球の裏側まで穴を掘った場合の結果を考えると、多数の科学的、地理学的、物理学的な困難が存在します。
掘削を行う過程は大きく5つの段階に分けられます。
掘削を行う過程の5つの段階
段階1: 表層
まず、地球の表層部分を掘り進みます。
表層は地殻とも呼ばれ、主に岩石で構成されています。
最も深い穴であるコラ半島超深度掘削坑でも、深さは約12kmに過ぎません。
技術的には掘削は可能ですが、この段階でも困難が多いです。
段階2: 地球のマントル
地球の地殻を突破すると、次に遭遇するのがマントルです。
ントルは地球の体積の大部分を占めており、約2,900kmの厚みがあります。
は非常に高温で、岩石は半固体状態になっています。
この状態の物質を掘ることは現行の技術では不可能です。
段階3: 地球の外核
マントルを突破すると、外核に到達します。
外核は主に液体の鉄とニッケルで構成されており、この領域は更に高温で、地表から約3,000kmから5,100kmまでの範囲に広がっています。
ここでも、現行の技術で掘削することは不可能です。
段階4: 地球の内核
外核を越えると、次に出会うのが地球の中心に位置する内核です。
内核は主に固体の鉄とニッケルで構成されていますが、この地点での圧力と温度は極めて高いです。
地表から約5,100kmから地球の中心（約6,371km）までの範囲に広がっています。
段階5: 地球の裏側への出口
最終的に地球の裏側に到達し、出口を作ると仮定します。
しかし、その瞬間には、穴の両端からの圧力と温度が均衡し、穴は閉じてしまうでしょう。
もし人間が地球を貫通する穴に落ちたらどうなる？
人が地球を貫通する穴に落ちるとしたら、その経過は以下のようになります。
初期段階
穴に落ちた瞬間、重力に引かれて地球の中心に向かって加速し始めます。
地球の表面から地球の中心に到達するまでの時間は約21分と計算されています。
地球の中心
地球の中心に達した時点で、その人は最大速度に達します。
しかし、地球の中心では重力が全方向に等しく働くため、実質的には重力がゼロになります。
地球の中心を過ぎて
地球の中心を過ぎると、落下者は反対側の地表に向かって減速を始めます。
これは地球の内部に向かって増大する重力によって引き起こされます。
落下者は地球の反対側の表面に到達する直前で速度がゼロになります。
反対側の表面
理論的には、落下者は反対側の地表に到達するとちょうど停止することになります。
しかし、その後、重力により再び地球の中心に向かって落下し、この往復が永遠に続くことになります。
まとめ
地球を貫通する穴を掘るというアイデアは、物理学的な視点から見ると興味深いものです。
しかし、これは多数の科学的な困難を伴います。現行の技術では、高温と高圧により変質する岩石を掘ることは不可能で、内核や外核の掘削は更に困難です。
最終的には穴の両端からの圧力と温度が均衡し、穴は閉じてしまうでしょう。
これらの理由から、地球の裏側まで穴を掘ることは現実的には不可能と言えます。
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