世界中で注目を集める中国の模倣建築。
しかし、その豪華な見た目とは裏腹に、実際には機能せずにゴーストタウン化してしまった事例も少なくありません。
今回は、世界中の名建築を模倣したものの、思わぬ問題で失敗に終わった3つの建物を紹介します。
広厦天都城
パリの街並みを丸ごと再現!しかし住む人はどこに?
浙江省杭州市に位置するところに、中国が誇る一大プロジェクトとして建設。
エッフェル塔を中心に、パリの街並みをそっくりそのまま再現したこの街は、かつては「中国のパリ」として注目を浴びました。
広大な敷地に整備された石畳の道やヨーロッパ風の建物群は、観光客を一時的に呼び寄せました。
しかし、住民の大部分が定住しないまま、ゴーストタウン化してしまいます。
そもそもこのエリアは住宅地としても商業地としても魅力が乏しく、緑地の手入れも行き届かず、現在では朽ち果てた建物が目立つ状態です。
おしゃれな外観とは裏腹に、実際に住むには不便極まりない場所となり、パリの雰囲気を再現するという試みは失敗に終わりました。
スカイシティ – 世界一の高さを目指したが…途中でストップ!
空中城市「スカイシティ」
この建物は、わずか90日で世界一の高さを誇る超高層ビルを完成させる計画として、中国国内外で注目を集め、828メートルというその高さは、ドバイのブルジュ・ハリファを上回る予定でした。
しかし、建設途中でプロジェクトは中断され、いまだに完成していません。
問題は、安全性の確保や資材の調達が十分でないまま進行しようとしたことです。
技術的な限界とコストの高騰、そして現実離れしたスケジュールの影響で、工事は無期限にストップ。
今では草むらに覆われた未完成の建物が残るのみで、計画自体が「机上の空論」だったことが露呈しています。
七一城市森林花園(成都の垂直の森)
緑に囲まれた理想郷は虫の温床に?
イタリア・ミラノの「ボスコ・ヴェルティカーレ」を模倣したこの高層マンションは、成都に建設されました。
建物全体に緑を取り入れたデザインは、都市緑化の最先端を取り入れたものとして一部の注目を集めます。
しかし、問題は植物の維持管理にありました。
十分な管理が行き届かないまま、建物全体が文字通り「ジャングル」のようになり、住民は虫の大量発生や湿気の問題に悩まされることに…。
さらに、緑で覆われた窓からの景観が悪くなることも不評を買い、最終的には多くの住居が空室となってしまいました。
理想と現実のギャップが大きすぎたため、マンションの多くはゴーストタウン化しているのが現状です。
まとめ
中国のパクリ建築は、その豪華な外観や話題性で一時的に注目を集めることが多いものの、実際にはライフスタイルに合わなかったり、技術的な問題に直面して失敗に終わることが少なくありません。
特に、現実的な運営や維持が追いつかず、結果的には使われないまま放置されています。
これらの失敗から学ぶべきことは、単なる外観の模倣ではなく、実際に機能する都市開発や住民のニーズに応じた設計が不可欠だという点です。
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