新しい千円札に登場した偉人「北里柴三郎」。
でも、「きたざと? きたさと?」と迷った経験がある人もいるのではないでしょうか。
今回は、実際の読み方と、その背景にある歴史や混乱について紹介します。
新千円札の北里柴三郎、正しい読み方と背景
北里柴三郎は、明治・大正期に活躍した日本の細菌学者です。
彼は、世界的に認められた感染症研究の第一人者であり、「ペスト菌の発見」や「破傷風治療法の確立」で大きな功績を残しました。
ところが、彼の名前の読み方が「きたざと」なのか「きたさと」なのか?しばしば混乱を招いてきたのです。
ドイツ留学時のエピソード
北里は、ドイツ留学中に自らの名前を「きたざと」と正確に発音してもらうために「Kitasato」と署名しました。
しかし、ここで問題が生じます。
ドイツ語には「ざ」という発音がないため、「sa」のローマ字を使って「Kitasato」と書かれた名前が、結果的に英語圏ではそのまま「きたさと」と読まれるようになったのです。
この誤解が広がり、帰国後もその影響で「きたさと」と呼ばれることが一部に残ってしまいました。
さらに、海外に認知されていた「Kitasato」の読み方が、日本国内でも定着し、今でも時折「きたさと」と読まれる理由の一つになっています。
北里大学・北里研究所の影響
さらに混乱を招いたのが、北里大学や北里研究所といった彼の功績をたたえる機関が、あえて「きたさと」という読み方を採用したことです。
これは、国際的な活動において「Kitasato」の読みをそのまま使用することで、海外での認知度を高めるためでした。
こうして、「北里」という名前は「きたざと」と「きたさと」の両方の読みが使われるようになったのです。
子孫も「きたざと」と名乗る理由
一方で、北里柴三郎の子孫たちは一貫して「きたざと」を正式な読みとして使い続けています。
これが人名としての本来の読み方であり、彼の名前の正統な継承でもあるのです。
教科書や辞典の記述も「きたざと」が正しい読みとされていますが、一部の文献では「きたさと」と表記されるケースも見られます。
つまり、人名としての「きたざと」が正式である一方、大学や研究所などの組織名として「きたさと」が選ばれたということです。
この使い分けを知っておくと、話題にする際にも混乱を避けることができます。
まとめ:結局どちらが正しいのか?
- 人名としての北里柴三郎 → 「きたざと」
- 北里大学・北里研究所などの組織名 → 「きたさと」
結果的に、どちらの読み方も特定の文脈で使われるようになりましたが、本来の正しい人名の読みは「きたざと」です。
この機会に、彼の名前の読み方だけでなく、その功績にも目を向けてみてはいかがでしょうか?
日本の偉人の名前にまつわるエピソードは、単なる雑学以上に、歴史や文化の奥深さを教えてくれますね。
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