地球の表面は、探求心を持った人々によって、数々の穴が掘られてきました。
その中でも特に深く、その掘削の背後にはさまざまな目的やストーリーが隠されている穴を紹介します。
コラ・スーパーディープ・ボレホール(ロシア)
- 場所:ロシア、コラ半島
- 年代:1970-1992年
- 採掘の目的:地殻の深部を探ることで、地球の内部構造や地震の原因を研究するため。
- 深さ:12,262メートル
- 現在は?:予想以上に高温であったため、計画的な深さに到達することはできず、今では放棄されています。
地獄の声
コラ・スーパーディープ・ボレホールに関しては、その深さや未知の部分に関する興味から、いくつかの都市伝説や迷信が生まれました。
最も有名で興味深い都市伝説の一つは、「地獄の声」の話です。
この都市伝説によれば、ボレホールの深い部分から地獄の声と思われる恐ろしい音が録音されたと言われています。
一部の話では、研究者たちがボレホールの深部にマイクロフォンを降ろしたところ、悲鳴や痛みの声が録音されたとされています。
この声は、無数の魂が苦しむ声と解釈され、一部では地獄の入り口がボレホールの底にあると信じる人々もいました。
南アフリカのゴールド鉱山
- 場所:南アフリカ共和国、ウィットウォータスランド盆地
- 年代:20世紀中頃以降
- 採掘の目的:金を採掘するため。
- 深さ:4,000メートルを超える部分もある。
- 現在は?:世界最深の鉱山として現在も稼働中。
しかし、それに伴い鉱夫たちが直面する以下のような危険も増大しています。
- 高温・高湿:鉱山の深部は非常に高温・高湿で、これが鉱夫の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。深さが増すことで地下の温度も上がり、適切な換気や冷却がなされない場合、熱中症や他の健康問題を引き起こす恐れがあります。
- 岩盤の不安定性:深く掘り進めることで岩盤の圧力が増し、それにより鉱山の崩落や地すべりのリスクが高まります。
- 地下水の侵入:鉱山の深部には地下水が存在している場合が多く、これが鉱山内に侵入することで浸水や洪水のリスクが高まる。水の侵入は鉱夫たちの安全を脅かすだけでなく、採掘活動自体の効率も低下させる。
- 換気の問題:鉱山の深部では新鮮な酸素の供給や有害ガスの排出が難しくなります。これにより、一酸化炭素中毒や他の有害ガスによる健康問題が発生する可能性があります。
- 震動・地震:鉱山の採掘活動による震動や、その地域の地震活動が鉱夫の安全を脅かすこともあります。
- 健康問題:長時間の労働、高温・高湿、震動などの環境下での作業は、鉱夫たちの健康に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、肺の問題や聴覚障害、関節や筋肉の問題などが報告されています。
ディープウォーター・ホライゾン油井(メキシコ湾)
- 場所:アメリカ、メキシコ湾
- 年代:2010年
- 採掘の目的:石油の採掘
- 深さ:海底からの深さは約1,500メートル、その下の石油井部はさらに約5,000メートル。
- 現在では?:2010年に爆発事故を起こし、深刻な環境被害が発生。これは史上最悪の油流出事故として知られている。
ディープウォーター・ホライゾン油井爆発事故
事故経緯:2010年4月20日、アメリカ・メキシコ湾の油井掘削プラットフォーム「ディープウォーター・ホライゾン」で大規模な爆発が発生。
この爆発によりプラットフォームは沈没し、それに続いて油の大量流出が始まった。
原因:主な原因としては、安全装置の故障や不適切な作業手順、設計上の欠陥などが挙げられている。
これに加え、事前のリスク評価の不足や安全対策の欠如も事故の背後にあった。
被害規模:
- 人的被害: 11人死亡、多数負傷。
- 金銭的被害: BPが650億ドル以上を負担。
- 自然影響: メキシコ湾に490万バレル原油流出、多数の生物死滅、沿岸の生態系にダメージ。長期影響も懸念。
まとめ
以上の3つの穴は、それぞれ異なる目的で掘られましたが、その深さや背後のストーリーは人々の探求心や技術の進歩を物語っています。
コラ・スーパーディープ・ボレホールは、地球の謎を解明するための冒険として始まりました。
南アフリカのゴールド鉱山は、人々の豊かさを追求する結果として、これまで考えられなかった深さまで掘り進められました。
ディープウォーター・ホライゾン油井は、エネルギー需要の高まりとともに、さらなる深さへと挑戦していった結果、大きな事故を引き起こすこととなりました。
これらの穴を通じて、人類の技術や探求心、そしてその結果としての喜びや悲劇を感じることができます。
そして、これからも地球の深部への探求は続いていくでしょう。
その際には、過去の教訓を活かしながら、より安全で、より有益な方法で探査を進めていく必要があります。
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