1972年の誕生以来、日本のハンバーガー文化を支えてきた「ロッテリア」が、今年度いっぱいでその歴史に幕を下ろします。
なぜ半世紀以上続いた老舗ブランドは、あえて消えるという選択をしたのでしょうか?
ロッテリアからゼッテリアへ
ロッテリアは1972年、日本発祥のハンバーガーチェーンとして誕生、エビバーガーや絶品バーガーなど、日本人の味覚に寄り添った商品づくりで多くのファンを獲得し、日本のファストフード文化を語るうえで欠かせない存在となってきました。
しかし転機は2023年、外食大手ゼンショーホールディングスによる買収を受け、ロッテリアはグループ再編の波に飲み込まれます。
その後、既存店舗の一部が新ブランド「ゼッテリア」へと転換され、段階的な変身が進められてきました。
そして、2026年3月を目途にロッテリア全店を閉店し、すべてをゼッテリアへ統合する方針が正式に発表されたのです。
ロッテリアは、長年業界4位という立ち位置にありましたが、近年はバーガーキングに店舗数で抜かれるなど、存在感の低下も指摘されている中で、ゼンショーは「ロッテリアを延命させる」のではなく、「一度リセットし再構築する」ことを選んだのです。
ゼッテリアが目指す新業態の狙い
ゼッテリアという名前は、絶品バーガーとカフェテリアを組み合わせた造語です。
そのコンセプトは明確で、「ファストフードなのに、ゆっくりできる店」という新たな価値の創出にあります。
ゼッテリアはカフェ的な居心地を加え、ハンバーガーを食べる人だけでなく、PC作業や勉強をする利用客の姿も多く見られます。
この背景には、社会環境の変化があり、コロナ禍以降オフィス以外で作業をする人が増え、カフェの需要は急拡大しました。
ゼンショーはこの流れを捉え、「ハンバーガー+カフェ」という居場所の再定義に踏み切ったのです。
単なるハンバーガーショップではなく、滞在価値を提供する場としての進化こそが、ゼッテリア最大の特徴だと言えるでしょう。
安さの限界と薄利多売からの脱却
ゼッテリア化のもう一つの大きな狙いは、ファストフード型ビジネスモデルの転換です。
現在の飲食業界は、原材料費・人件費・光熱費のすべてが上昇し、安く大量に売る薄利多売モデルは限界に近づいています。
実際、マクドナルドをはじめとする大手チェーンも、値上げや高付加価値業態(マックカフェなど)へのシフトを進めています。
また、ゼッテリアではタブレット注文や少人数オペレーションなど効率化も徹底、長居する客が追加注文をしやすくなっており、滞在時間の長さが客単価アップにつながる仕組みも整えられています。
興味深いのは、ロッテリアという名前自体が、もともとロッテとカフェテリアを組み合わせたものだった点です。
つまり、ゼッテリアへの転換は、ある意味で先祖返りとも言えるでしょう。
ハンバーガー色が強まりすぎたロッテリアを、本来の「カフェテリア的要素」に立ち戻らせたとも解釈できます。
まとめ
ゼッテリアへの転換は、飲食業界の構造変化と消費行動の変化を見据えた、極めて戦略的な進化だと言えます。
ロッテリアという名前が消える寂しさはありますが、ゼッテリアが次の時代のスタンダードになれるかどうか…それこそが、これからのハンバーガー業界最大の注目ポイントとなるでしょう。
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