旅行先で利用するレンタカーには、新しい年式の車が並んでいることが多いですよね。
一方で、レンタカー会社は車を貸すだけで本当に利益が出ているのか?なぜ短期間で中古車として市場に出てくるのか?といった点まで理解している人はそれほど多くありません。
実はレンタカー事業は、単なる貸し出し業ではなく、車両の仕入れから売却までを含めた循環型のビジネスとして成り立っているのです。
今回は、その利益構造とリセールまでの流れを解説します。
レンタカー車に新しい車が多い理由
レンタカー会社が新車を積極的に導入している背景には、「新しい車ほど価値を保ちやすい」という明確な理由があります。
一般的な個人ユーザーは、車を購入したあと長期間乗り続け、価値が大きく下がった段階で売却するケースが多いですが、レンタカー会社は価値が大きく下がる前に手放すことを前提として車両を導入しています。
新車は購入直後から価値が下がり始め、下落幅が最も大きいのは最初の数年です。
この期間を1〜2年に区切り、需要が高い時期だけ使用することで、減価を最小限に抑えることができます。
そのため、レンタカーとして採用される車種は、燃費性能や耐久性に優れ、リセールバリューが安定している車に集中する傾向があるのです。
レンタカーに新しい車が多いのは、サービス重視というよりも合理的な資産運用の結果といえます。
レンタカー会社の利益は貸すだけでは成立しない
レンタカー会社の利益源を「レンタル料金だけ」と考えるのは正確ではありません。
実際には、レンタルによる収益と車両売却による回収を組み合わせることで事業が成り立っています。
車両は法人としてまとめて購入されるため、一般の消費者よりも有利な条件で仕入れ、その車を一定期間レンタカーとして稼働させることで、車両価値の下落分をレンタル料金で回収します。
その後、価値が残っているうちに中古車として売却し、資金を回収する仕組みです。
この流れにより、車は単なる消耗品ではなく回転させる資産として扱われています。
レンタカー事業は、貸して終わりのサービスではなく、金融商品に近い性質を持つビジネスモデルといえます。
レンタアップ車が中古市場に出てくる理由
レンタカーとして使用された車は、「レンタアップ車」として中古市場に流通します。
レンタカー登録の履歴がある車は、不特定多数が使用したというイメージから、中古車としての評価が下がる傾向があります。
しかし、レンタカー会社にとって評価の下落は想定内で、レンタル期間中にすでに減価分を回収しているため、相場が下がっても採算が合う構造になっています。
その結果、年式が新しく整備履歴が明確な車両が、市場価格より抑えた金額で流通することになります。
一般の購入者から見ると敬遠されがちなレンタアップ車ですが、実際にはプロが短期間・高頻度で管理してきた車両でもあります。
仕組みを理解すれば、必ずしも悪い選択肢ではありません。
まとめ
新車を有利な条件で仕入れ、高需要の期間だけ使用しレンタル収益で減価を回収、価値が残っているうちに売却する、この循環によってレンタカー事業は成り立っています。
レンタアップ車は使い古された車ではなく、計画的に回転させられた資産の一部です。
この構造を知ることで、中古車に対する見方も変わってくるはずです。
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