水に溺れるという経験は、想像するだけでも恐ろしいものです。
特にこの溺死と焼死は、人間が死ぬ方法の中でも最も恐ろしいとされることが多いです。
なぜなら、その苦痛は非常に強く、また終わりまでの時間が一瞬ではなく、苦しみを感じ続ける時間があるからです。
以下に水に溺れてから死に至るまでの過程を時系列で説明します。
水に溺れたら起きること
①驚愕とパニック(0~30秒)
溺れる過程は突然始まります。
不慮の事故で水中に落ちた場合、人間の最初の反応は驚きとパニックです。
一般的に、人間は本能的に浮き上がろうとするため、手足を激しく動かして水面へ戻ろうとします。
しかし、パニック状態では冷静な判断が難しく、効率的な泳ぎ方ができないため、余計なエネルギーを使い果たす可能性があります。
②水の吸入(30秒~2分)
次に、酸素が必要となり、口か鼻で息を吸おうとします。
しかし、水中ではそれが難しく、結果的に水を吸い込むことになります。
これにより、喉は水を防ごうと反射的に閉じます。
この現象を「喉頭閉鎖反射」または「咽頭反射」と呼びます。
③無酸素状態(1~3分)
さらに時間が経つと、体の酸素供給が途絶え、心拍数が急速に増加します。
酸素不足により、意識が朦朧としてきます。頭痛や眩暈が始まり、思考が混乱してきます。
④失神(3~5分)
酸素不足が続くと、最終的には意識を失います。
この時点ではまだ心臓は動いており、一定の時間内に救助されれば生き返る可能性があります。
⑤心停止(5分以降)
意識を失った後、さらに数分間酸素が供給されない状態が続くと、心臓が停止します。
これが臨床的死と呼ばれ、生命活動の停止を意味します。
⑥脳死(10分以降)
心停止から約10分後、脳への酸素供給が完全に止まると、脳細胞が死ぬことで脳死状態となります。
この状態になると、生命を取り戻すことはほぼ不可能となります。
溺れたときの対処法
水に溺れてしまったときに生存率を上げるためのいくつかのアドバイスを以下に記します。
冷静になる
一番大切なことは、パニックにならずに冷静さを保つことです。
パニックになると混乱し、正常な判断ができなくなります。
深呼吸をして落ち着き、何をすべきかを考えましょう。
フロート(浮かぶ)
もし、泳ぐ自信がないのであれば、自分が水面上に浮かぶようにすることが重要です。
背中を下にして水面に寝るような姿勢を取り、深呼吸をしながらリラックスしましょう。
これにより体がフロート(浮く)状態になり、水面上に頭を出すことができます。
助けを呼ぶ
助けが近くにいる場合は、大声で助けを呼ぶことも重要です。
助けを呼ぶ際にはエネルギーを使うため、可能であれば安全な状態になってから行うようにしましょう。
泳ぐ
ある程度泳げる場合は、無理に速く泳がないで、ゆっくりとしたペースで最も近い安全な場所を目指しましょう。
もし海で溺れた場合、流れに抗わずに流れに乗ってから岸を目指すと良いでしょう。
ライフジャケット
海やプールなどに行くときは、ライフジャケットを着ることをおすすめします。
特に泳ぎに自信がない方や子供、海などの広い水域で遊ぶ場合は必須です。
最も確実なのは水泳を習うこと
以上のようなことを心掛けることで、溺れた時の生存率を高めることができます。
しかし、最も確実な対策は、水泳を習うことです。
水泳は体全体を使う運動で、健康にも良いだけでなく、いざという時の生命を守るスキルにもなります。
まとめ
このような過程を通じて、水に溺れる経験は非常に苦痛なものであることが分かります。
しかし、これは決して他人事ではなく、安全な水辺の利用と水泳の技術を身につけることで予防することが可能です。
生涯を通じてこれらのスキルを学び、維持することが、自分自身や他人をこのような恐ろしい経験から守る最良の方法となります。
あわせて読みたい