ここ最近、日本の飲食店や小売店で「500円玉のつもりで500ウォンを置いていく」そんなトラブルが相次いでいます。
韓国の500ウォン硬貨は、実は日本の500円玉と大きさ・重さが非常に近く、慌ただしい会計時には見分けがつきにくいほどそっくりです。
しかも価値は日本円でわずか50円ほど、店側にとっては大きな損害となり、すでに数十件単位の被害が報告されています。
そこには、500円玉と500ウォンの偶然の類似だけでなく、過去に日本の自販機を揺るがした偽造事件、そして硬貨技術の進化まで絡む深い歴史が関係しています。
なぜ今、500ウォンの紛れ込み被害が相次ぐのか?

東京にある飲食店では、ここ10年で15回以上、会計に500ウォン硬貨が紛れ込むトラブルが発生しています。
店主は「忙しい時間帯は確認が追いつかない」「カウンターに置いて帰られると見抜けない」と語り、キャッシュレスを導入しても現金客が多いため根本的な解決には至っていません。
SNSでも「近所の八百屋でもやられた」「立ち食いそば屋で気づかず受け取ってしまった」など、被害報告が相次いでいます。
これらの背景にあるのは、500ウォンと500円玉の形状がほぼ一致しているという事実です。
故意か誤りかは判断できない…と店側は苦しい胸の内を語っていますが、実害が出ている以上は注意喚起は急務となっています。
500円玉と500ウォン誕生の歴史
実はこの2つの硬貨は、どちらも1982年に発行され日本が4月1日、韓国が6月21日と発行日はわずか2カ月差です。
つまり、どちらかが真似したというのではなく、設計理念が偶然似てしまったというのが最も有力です。
色・サイズ・素材がほぼ一致、この偶然の一致が、後に日本で大きな偽造事件を引き起こすことになります。
当時、500ウォン硬貨は日本円で約60円ほど、重さを調整するために穴を削ったり加工を施し、日本の自動販売機に投入すると500円玉として認識され、釣り銭を抜き取る不正利用が横行します。
1990年代には自販機業界全体に多大な損害を与え、500円玉の受け入れを止める店舗も続出したほどでした。
この事件は、日本の硬貨技術を大きく発展させる契機にもなり、2000年には第2世代の500円玉が登場、縁の刻印や潜像加工など高度な偽造防止が施されました。
さらに2021年には、金×銀のバイカラー構造が導入され現在では見分けやすく、偽造も困難な硬貨となっています。
今も続く500ウォン問題
現在流通している日本の500円玉は、現行の500ウォン硬貨とは明らかに外見が異なります。
それでも実際の店頭で見分けづらい理由は、忙しい会計現場では硬貨の裏面や細かな刻印まで確認する時間がないからです。
さらに問題を複雑にするのは、500ウォン硬貨が日本で両替できないケースが多いという点です。
旅行者や出稼ぎ労働者が持ち帰った500ウォンが日本国内で使えないお金として滞留し、意図的に使われる可能性も完全には否定できません。
硬貨の重さや表面の加工を丁寧に見れば違いは明確ですが、会計の瞬間にそこまで注意するのは現場の従業員に大きな負担となります。
その結果、硬貨が紛れ込むリスクは今も消えていないのです。
まとめ
技術革新により500円玉は見分けやすく進化しましたが、会計現場では一瞬の判断が求められるため、完全にトラブルを防ぐことは難しいのが実情です。
硬貨の特徴を知ることは、利用者・店舗双方のトラブル防止につながるので、現金を扱う場面ではほんの少しの意識が大きな損失を防ぐ力になるでしょう。
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