人気店、クリスマスの買い物、初詣など、人が集まる季節になると「この行列、あと何分で進むんだろう…」と不安になることはありませんか?
しかし、実は行列の「平均待ち時間」は、あるシンプルな法則を使うとざっくり予測できるのです。
それが、世界中の工場や企業でも使われる 「リトルの法則」 、本来は専門的な理論ですが、日常の行列にも応用できる便利な考え方で、今回はその仕組みと活用法をわかりやすく紹介します。
リトルの法則とは?
行列に並ぶとき、私たちはなんとなく「これくらいかな」と待ち時間を予想します。
実は、科学的に説明できる法則があり、アメリカ・MITのジョン・リトル教授が提唱した「リトルの法則」です。
リトルの法則の基本式は、とてもシンプルです。
■ L = λ × W
- L(平均人数):システム内に滞在している人や物の数
- λ(到着率):1分あたり何人がやってくるか
- W(平均待ち時間):並び始めてから処理されるまでの時間
この式を変形すると、「W = L ÷ λ」となり、平均人数を到着率で割ったものが平均待ち時間になる、という原理が導き出されます。
この法則は、単なる行列の計算だけでなく、工場の生産ライン、ネットワーク処理、空港のチェックイン、コールセンターの対応時間など、あらゆる待ちが発生する現場で利用されています。
つまり、世界中の企業が効率化のために頼りにしている非常に実用的な法則なのです。
日常での簡易的な使い方
では、どう実生活に使うの?と思うかもしれません。
ここでは、飲食店の行列を例にして簡易的な計算方法を紹介します。
たとえば、あなたが人気ラーメン店に並んだとします。
「自分の前に6人が並んでいる、観察すると、1分間に後ろに2人増えた」、このとき到着率 λ は 1分あたり2人、よって待ち時間の予測は…
「W = 6 ÷ 2 = 3分」となります。
とてもシンプルで直感的な計算ですが、実際に行列の長さを推測したいときに役立ちます。
ただし注意点もあり、リトルの法則はもともと「長時間の平均」を取って使うものです。
ラーメン店のように客の動きが激しく変わる場所だと、1分間の観察には誤差が生まれやすいのが現実で、本来はやって来る人数だけでなく、どれくらいのペースで人が捌けているか(退店率) も考慮する必要があります。
とはいえ、行列に並んでいるときの「今日どれくらい待つんだろう」という不安を減らすためには、この簡易版でも十分使えるのがポイントです。
また、応用範囲は驚くほど広いのです。
たとえば、テーマパークのアトラクションでは、待機列の人数と乗車回転率がわかれば待ち時間を推測できます。
これは実際に運営側が日常的に行っている手法です。
つまり、リトルの法則は単なる理論ではなく、混雑を読み解くための普遍的な原理”として実生活でも活躍するのです。
まとめ
リトルの法則は、行列に並ぶときの待ち時間を科学的に予測できる便利な考え方です。
平均人数と到着率という2つの数値がわかれば、ざっくりした待ち時間が計算できます。
行列が増える季節こそ、リトルの法則を上手に使って賢く待ち時間を見極めてみてください。
あわせて読みたい|マタイク(mataiku)