みなさん、寿司といえばまず何を思い浮かべますか?
多くの方は「マグロ」や「サーモン」が浮かぶのではないでしょうか。
回転寿司では、定番の人気ネタとして好まれています。
でも、高級寿司店に行くと、なぜかサーモンが見当たらない…なぜ?
今回は。高級寿司店ではサーモンを扱わない理由を紹介します。
高級寿司店にサーモンがない理由
伝統と新参の違い
実は、サーモンは日本の伝統的な寿司ネタではありません。
江戸時代から続く江戸前寿司の世界では、その土地で獲れた新鮮な魚介が中心となります。
江戸時代、サーモンは日本国内では生で食べる習慣がなく、寄生虫のリスクもあり、生食の文化に馴染んでいませんでした。
実際、日本でサーモンが寿司ネタとして認知され始めたのは20世紀後半から。
ノルウェーなどの海外からの輸入が普及してからなので、歴史的には「新参者」と言える存在です。
古くからの寿司職人たちは、マグロやタイ、ヒラメなど、長く親しまれてきたネタを重んじる傾向があり、「新参」であるサーモンは、少し敬遠されがちな一面もあるのです。
寄生虫のリスクと安全性
サーモンが寿司ネタとしてすぐには受け入れられなかった理由には「寄生虫」の問題もあります。
サーモンは川と海を行き来する回遊魚で、寄生虫のリスクが他の魚より高いとされています。
回転寿司や一般的な寿司店では、冷凍処理や海外の厳しい衛生管理を経たサーモンが提供されていますが、伝統的な寿司の文化が根強く残る高級寿司店では、寄生虫のリスクが懸念される魚を避ける傾向があるのです。
特に、江戸前寿司の技法を重んじる寿司職人にとっては、鮮度や安全性が保証された魚に対するこだわりが強いため、サーモンの扱いには慎重な姿勢を見せることが一般的です。
味とバランスの問題
高級寿司店では、ネタとシャリの絶妙なバランスを追求します。
サーモンは脂が非常に豊富で、その濃厚な味わいが特徴ですが、この脂の多さがシャリとのバランスを取りにくくすると考える職人も多いのです。
脂が多いと、それ自体が満足感を生む一方で、シャリの風味や酢のバランスが損なわれてしまうことがあります。
特に高級寿司店では、素材本来の味を際立たせるため、あっさりとした白身魚や、味の濃淡が感じられるマグロが好まれる傾向があります。
サーモンの濃厚な脂の味わいは、多くの方に愛されていますが、繊細な味のバランスを重視する場では控えられることがあるのです。
食材の希少性や価値観
高級寿司店は、特別な食材や希少性の高い魚介を提供することで価値を見出しています。
サーモンは一般的に入手しやすく、手頃な価格で提供されることが多いため、高級感を演出するには少し物足りないと見られることもあります。
寿司職人たちは、四季折々の旬の魚を提供し、季節感を大切にすることで、他店にはない特別な体験を提供することを目指しています。
地元でしか手に入らない魚や、漁獲量が限られた魚が中心となる高級寿司店では、サーモンよりも希少性や季節感に富んだネタが重宝されるのです。
海外からの影響
サーモンが日本の寿司市場に広がる背景には、実はノルウェー政府の強力なマーケティング活動がありました。
ノルウェー産のサーモンが日本市場に持ち込まれ、その美味しさと手軽さが日本人の心を掴んだのです。
しかし、伝統的な高級寿司店では、こうした海外からの影響を取り入れず、日本の地元産の魚を重視することで、独自の寿司文化を守り続けているところも多くあります。
サーモンは現代の寿司文化においては欠かせない存在となりましたが、高級寿司店の厳格な価値観の中では、地元の旬な魚を重んじることで、サーモンは特別に選ばれることは少ないのです。
まとめ
サーモンが高級寿司店で提供されない理由は、単なる「好み」や「流行」ではなく、伝統や品質、安全性、そして食材に対するこだわりが背景にあります。
サーモンは回転寿司や家庭では親しみやすく、多くの人に愛されるネタですが、高級寿司店ではその特別感やバランスに重点を置くため、あえてサーモンを使わないという選択がなされています。
もし、高級寿司店に行った際には、そんな背景に思いを馳せつつ、職人のこだわりが詰まった寿司を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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