アフリカの人たちはなぜ避妊をしないの?そんな疑問を持ったことはありませんか?
実際、アフリカの一部地域では、一人の女性が六人から八人の子どもを産むことも珍しくありません。
しかし、これは単に避妊しないからではなく、教育、文化、経済という深い理由が関係しています。
今回は、アフリカの大家族の背景にある驚くべき三つの理由を紹介します。
避妊の知識がないのは教育と意識の問題
アフリカの多くの地域では、避妊の知識を得る機会がほとんどありません。
日本では学校で避妊について学ぶことができますが、アフリカの農村部では性教育がカリキュラムに含まれていないことが多く、知識がなければ避妊をすることは難しいのが現状です。
家庭や地域でも性に関する話題がタブー視され、公に話すことが避けられる傾向があるため、ますます避妊の意識が育ちにくい状況となっています。
また、誤った情報が広がりやすいことも問題の一つです。
例えば、「ピルを飲むと不妊になる」「コンドームを使うと男性の精力が落ちる」といった迷信が根強く、避妊に対する誤解が広がっています。
ウガンダでは、生理の話すらタブーとされ、女子生徒が生理用品を買えずに学校を辞めるケースもあります。
このような環境では、避妊の知識を得る機会がほとんどなく、その結果として十代の妊娠率も高くなってしまいます。
避妊の知識がないまま妊娠し、教育を受けられず、その状況が次の世代にも繰り返されることで、貧困の連鎖が生まれてしまうのです。
避妊はNG!?文化的な背景
アフリカの家庭が大家族になる背景には、文化的な価値観も大きく影響しています。
多くの地域では、子どもを多く持つことが家族の繁栄の象徴とされ、女性にとってもたくさんの子どもを産むことが社会的な評価につながります。
特に農村部では、「子どもが少ない家庭は貧しい」と見なされることすらあります。
また、家族計画の決定権が女性にはなく、男性が主導権を握っていることも少なくありません。
一夫多妻制が根付いている国では、たくさんの子どもを持つことが富の象徴と考えられており、避妊が選択肢に入らないケースも多いのです。
実際に、ブルンジで七人の子どもを持つ女性にインタビューしたところ、「子どもを何人産むか決める権利はなかった」と語っていました。
避妊は、知識があればできるものではなく、文化や家族の価値観によって大きく左右されるのです。
避妊具が買えないのは経済的な要因
避妊をしない理由には、経済的な事情も深く関係しています。
アフリカの貧しい地域では、避妊具を買う余裕がないことが大きな課題となっています。
コンドームやピルの価格は、日本の感覚では安く感じるかもしれませんが、一日数十円から数百円の収入で生活している人々にとっては、避妊具を買うことが食費を削るのと同じくらいの負担になるのです。
さらに、農村部ではそもそも避妊具を手に入れることが困難な場合もあります。
都市部では海外の援助機関がコンドームを無料配布する取り組みも行われていますが、その支援が本当に必要な貧困層にまで届いていないのが現実です。
例えば、ウガンダではホテルやゲストハウスにコンドームが無料で置かれていることがありますが、そこに泊まれるのはある程度お金を持っている人たちに限られます。
加えて、子どもが多いことが必ずしも経済的な負担になるわけではないという点も、避妊が普及しにくい理由の一つです。
農村部では、子どもは家庭の重要な働き手と考えられており、農業や家業を手伝い、魚を売るなどして家計を支えています。
親だけではなく子どもも働かなければ生活できない状況があるため、子どもを持つことは生活の負担ではなく、むしろ家計を助ける手段とされているのです。
昭和二十年から三十年ごろの日本でも、農村部では子どもは労働力として扱われ、教育よりも家業を手伝うことが優先されていました。
アフリカの現状は、かつての日本の姿とも重なる部分があるのかもしれません。
まとめ
アフリカの家庭が大家族になる背景には、教育、文化、経済の三つの要因が関係しています。
特に農村部では、子どもは家計を助ける労働力として重要視され、避妊が普及しにくい状況が続いています。
しかし、都市部では避妊の意識が広まり、出生率が減少しているという変化も見られます。
アフリカの大家族の背景には、こうした複雑な事情があることを理解することが大切ではないでしょうか。
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