2020年以降、空前のキャンプブームに乗って絶好調だった「スノーピーク」、SNSでもおしゃれキャンプの象徴として大人気でしたよね?
ところが…2023年12月期決算では純利益99.9%減、そして上場廃止?
スノーピークに何が起きているのでしょうか…。
コロナ禍で大ブレイクしたスノーピーク、だがその反動が…

スノーピークは、新潟県発の高級アウトドアブランドで、2015年に上場し品質とデザイン性を兼ね備えたキャンプギアで人気を博してきました。
コロナ禍では「密を避けられるレジャー」としてキャンプが大ブームになり、多くの初心者層がアウトドアに流入、2022年には過去最高の売上307億円を記録します。
しかし、コロナ収束とともに状況が一変します。
2023年には旅行や都市型レジャーの再開によってキャンプ熱は沈静化、初心者キャンパーが離脱し商品は中古市場に流れ、新品の需要は大幅に減少しました。
その結果、2023年12月期の売上は約257億円に落ち込み、純利益は前年の約20億円からたった100万円にまで激減…。
この数字が業界内外に衝撃を与えることになります。
急な利益減のワケと、「上場廃止」という異例の選択
注目されたのは、その「利益100万円」という異常な数字です。
実はここに、約4.28億円の減損処理が関係しています。
これは固定資産の価値を見直し、帳簿上で資産を減らす会計処理で、現金の支出はないものの、利益を意図的に抑えることができるのです。
この「不自然な黒字発表」の1週間後、スノーピークは突如MBO(マネジメント・バイアウト)を発表、つまり株式を非公開化し上場廃止を決めたのです。
買収を仕掛けたのは米国のベインキャピタル、市場では「利益をあえて下げて企業価値を低く見せ、株主に安く売らせる戦略では?」という憶測も飛び交いました。
さらに背景には、創業家の葛藤も見え隠れします。
2020年に創業者の孫・山井梨沙氏が社長に就任し話題を集めましたが、2022年に私的な理由で退任、その後、創業者の父が再登板しました。
短期利益を求める株主対応に疲弊し、自由な経営を取り戻すための「非上場化」だったとも考えられています。
スノーピークは終わったのか?それとも進化の前兆か?
メディアでは「業績悪化」「オワコン」といった見出しが目立ちますが、実態は少し違います。
- 売上は依然としてコロナ前よりも高い水準
- ブランドイメージは根強く、一定の支持を維持
- アメリカ・中国を中心とした海外市場に可能性が広がっている
実際、スノーピークが手を組んだベインキャピタルは、グローバル展開に長けたファンドで、今後は海外のアウトドア需要を取り込み、「日本発の世界的アウトドアブランド」へと進化する可能性を秘めているのです。
つまり上場廃止は、単なる撤退ではなく、長期的成長を見据えた「再出発」?
株価や決算の数字に一喜一憂せず、本質的な価値をどう育てていくか…スノーピークは今、その大きな転機に立っているのです。
まとめ
スノーピークの上場廃止、そして100万円という極端な利益数字は、単なる業績不振の証拠ではありません。
それは、短期利益を捨ててでも、自社のビジョンに集中するという経営判断なのです。
今後、日本だけでなく海外へ、プロダクトだけでなく体験・サービスへ、スノーピークは「アウトドアのある人生」をどう提案していくのか。
「終わり」ではなく「始まり」その先にある姿を、ぜひ見届けていきましょう。
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