ユニクロのレジに商品をカゴごと置くだけで、すべてを一瞬で読み取ってくれるあの仕組み、はじめて体験したとき、「え、なんで?なんで全部ピッてなるの?」と驚いた方も多いのではないでしょうか。
同じようにレジが混みやすいスーパーでは、なぜこの技術が使われていないのでしょうか?
今回はユニクロのレジに隠された最先端の技術と、それがスーパーに導入されない理由を、納得感たっぷりに紹介します。
カゴごとピッ!ユニクロのレジの秘密は「RFID」

ユニクロのレジで商品をカゴごと指定の場所に置くと、あっという間にすべての商品の情報が画面に表示されます。
これを可能にしているのが「RFID(アールエフアイディー)」という技術です。
RFIDとは「Radio Frequency Identification(無線周波数識別)」の略で、電波を使って情報を読み取る仕組みになっています。
ユニクロの商品には、目に見えないほど小さなICチップ付きのタグ(ICタグ)がついており、その中に商品名や価格、サイズなどの情報が登録されています。
RFIDレジはこのタグを電波で非接触読み取りすることで、バーコードのように1点ずつ「ピッ」としなくても複数の商品を一括でスキャンできるのです。
お客さんにも店員にもメリットだらけ!
この仕組みのメリットは、お客さんにも店舗側にもあるのがポイントです。
■お客さんのメリット
- 商品を1点ずつスキャンする手間がなく、会計が驚くほど早い
- レジ待ちの行列が減り、ストレスが激減
- 商品を店員に見られることなく、プライバシー面でも快適
■店舗のメリット
- レジ業務の省人化、1人で複数台のセルフレジを管理できる
- 商品の在庫をリアルタイムで把握可能、棚卸しの手間も減少
- 万引き防止タグとしても活用できるなど、防犯対策にも効果的
実際、ファーストリテイリング(ユニクロの親会社)は世界でも早期にRFIDを全店舗に導入した先駆者で、効率化の成功事例として注目されています。
じゃあ、スーパーでも使えばよくない?…とはいかない理由
ここまで見ると、「え、じゃあスーパーも同じ仕組みにすればよくない?」と思いますよね。
でも、現実はそんなに単純ではありません。
スーパーには導入できない、もしくは導入しにくい理由がいくつもあるのです。
- 商品点数と回転が多すぎる
スーパーは1店舗あたり数千〜数万の商品を扱い、毎日入れ替わるものも多いため、RFIDタグをひとつひとつに付けるのは人的・金銭的にも非現実的。 - RFIDタグがまだ高コスト
ユニクロのように1点数千円の商品なら吸収できても、スーパーでは100円の商品に10円のタグを付けるのは採算が合わない。 - RFIDが苦手な液体や金属
RFIDは水分や金属に弱く、ペットボトル・缶詰・肉のパックなどで読み取りエラーが起こりやすいため、食品との相性が悪い。 - バーコードの方が速くて安定
スーパーのレジスタッフのバーコード読み取りは超高速かつ高精度。
しかも読み取り機器のコストも安いため、わざわざ切り替えるメリットが少ない。 - 在庫管理の精密性が求められない
ユニクロでは1アイテムの在庫を正確に把握する必要がありますが、スーパーは「売れたら補充」のスタイルが多く、リアルタイム管理のニーズがそこまで高くない。
とはいえ、将来的な可能性も…完全に諦められているわけではありません。
実際に、セブンイレブンやローソンなどの一部実験店舗では、RFID付き商品を導入しているところもあります。
また、経済産業省が「2025年までにコンビニ商品へのRFID導入を目指す」プロジェクトを進めていたこともあります(現在は延期中)。
さらに技術が進化し、
- RFIDタグが印刷技術で超低コストに
- 金属や液体への対応力が向上
- 無人店舗の普及(Amazon Go型の店舗)
…などが進めば、将来的にはスーパーでも普及する可能性は十分にあります。
まとめ
ユニクロが導入しているRFIDレジは、スピード・正確性・利便性を兼ね備えた次世代の買い物体験です。
しかし、それをそのままスーパーに導入するには、商品の種類・コスト・技術的制限という現実的な壁が存在します。
今は難しくても、将来的にはあなたの近所のスーパーでも、カゴを置くだけで会計が完了する時代が来るかもしれません。
今後の進化に期待しつつ、まずはユニクロの最先端レジを体験して、その仕組みにちょっとした感動を覚えてみてはいかがでしょうか?
あわせて読みたい|マタイク(mataiku)