近年、PayPayや他のキャッシュレス決済サービスの取扱をやめる店が増加しています。
便利さや経済効果を積極的に言われてきたキャッシュレスなのに、なぜそのような流れが生まれているのか?
ここでは、現場で起きている問題と、その裏側にある緊縮を詳しく紹介していきます。
キャッシュレス決済に何が起きている?
店側がキャッシュレス決済を利用する上で最大の障害となっているのが、絶えず増加し続ける手数料です。
PayPayの導入当初、店側は「0%」というほぼノーコストでキャッシュレス決済を導入することができました。
しかし、ユーザー数が定着し、日本における決済サービスの位置を確立するにつれて、手数料は潜在的に上昇、現在は2%〜3.5%の手数料を設定する決済企業も少なくありません。
スーパーやコンビニは、利益率が1%〜3%とされる業態であり、そこから手数料に3%を払えば、実質的に残る利益はほぼ0に近いでしょう。
特に小さな飲食店や個人経営の店では、この数%が経営に大きな影響を及ぼします。
仕入れ値も上がってる、光熱費も高騰してる…そんな中で手数料まで取られたらやっていけない!という声も少なくありません。
実際、現金支払いや自社決済アプリ使用を推奨する店が増え、「キャッシュレス利用を遠慮して欲しい」と明言する大手コンビニチェーンも現れ始めています。
このように、事業者と店舗の間で、利益とコストのバランスを取ることが難しくなっているのです。
キャッシュレス企業も緊縮?
商業を支えるのは店側だけではありません。
後ろにいる決済企業も、現在大きな続く損失と戦っています。
PayPayはユーザー獲得に大きな投資をし、2023年度までに約2755億円の損失を記録しました。
また、LINE Payは2025年をもって日本サービスを終了することを発表、この原因には、2019年の消費税増税対策として始まった政府のキャッシュレスポイント還元事業の終了があります。
これにより次第緊縮も高まり、自力でサービスを続けるために費用増大をせざるを得なかったのです。
政府は、キャッシュレス決済の普及を推進しており、2025年までに普及率40%を目指しています。
しかし、現場では手数料の負担が大きく、キャッシュレス決済を導入しない、あるいは廃止する店舗が増えています。
このように、政策と現場の実態との間にギャップが生じているのです。
これらを変えるためには、手数料構造の見直し、決済企業への支援、現場に立った政策が求められます。
日本は今後どうすべき?
現在、日本のキャッシュレス決済は世界に比べて大きく遅れています。
韓国では実に9割以上の人がキャッシュレス決済を使用し,中国も大部分がキャッシュレス化が実現しています。
これらに比べ、日本のキャッシュレス決済流通率は39.3%に留まっています。
これは明らかな差であり、さらに現場の問題を改善しなければ、この差はもっと広がるでしょう。
とは言え、日本政府は「キャッシュレス推進」を掲げていますが、「手数料問題」についてはあまり触れられていません。
一部では「手数料を1%以下に規制すべき」「定額制に変えるべき」という声も上がっていますが、いまだ実現には至っていません。
こうした制度設計が整わない限り、今後もPayPay離れやキャッシュレス撤退の動きは続く可能性があるのです。
まとめ
キャッシュレス決済は、店側にかかる手数料の負担は実際には緊縮を加速させています。
現場では利益を確保するために、やむなく現金決済のみへ戻る動きも増えています。
大切なのは、未来像のみを追うのではなく、現場の声に耳を傾け、課題を現実的に解決していくことです。
そして、利益を生むことではじめて、未来に続くキャッシュレス社会を実現する道が開けるのです。
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