プロ野球観戦中、ふいに飛んでくるファールボールやホームランボール、「キャッチできたらラッキー♪」なんて気軽に思っていませんか?
実際には骨折や失明といった重大な事故が毎年のように起きているのです。
もしあなたや家族がケガをしたら、その責任は誰にあるのでしょう?治療費は?球場の対応は?
今回は、実際の流れと知っておくべき現実を詳しく紹介します。
意外と多い観戦中の打球事故

プロ野球で使われるボールは、約145グラムの硬球、芯はゴムやコルクで非常に硬く、表面はきつく縫われており、まさに飛んでくる凶器といっても過言ではありません。
スピードも150km/hを超えることがあり、直撃すれば深刻なケガにつながります。
実際には以下のような事故が報告されています。
- 顔に当たって歯が折れた
- 目に直撃して視力を失った
- 腕に当たり骨折
- 子どもの頭部に当たって脳しんとうを起こした
事故が起きやすいのは、特に内野の一・三塁側で、ライナー性の打球が多く、反応する時間もほとんどありません。
また観客が飲食やスマホ操作をしている間に無防備な状態で被弾するケースも少なくありません。
さらには、「危ない!」という周囲の声に反応して振り向き、ボールが直撃してしまう例も非常に多いのです。
これは人間の脳がとっさに見ようとする本能を優先してしまうからですね。
ケガをしたらどうなる?
打球事故が発生すると、まずは周囲の観客の通報によりスタッフがすぐに駆けつけます。
その場で負傷の状態を確認し、出血や意識の有無に応じて医務室への搬送や、重傷時には救急搬送も行われます。
球場には基本的に救護スタッフが常駐しており、応急処置までは迅速に行われます。
しかし、ここで気になるのは治療費や責任の所在ですよね。
実は多くの球場や球団では、入場券や場内アナウンスでこう明記されています。
「打球等による事故について、主催者および球場は責任を負いません」
つまり、基本的には自己責任なんです。
どれだけ重大なケガであっても、原則として球団や球場が治療費を負担することはありません。
とはいえ、球団によっては被害者への「善意対応」がされることもあります。
たとえば、後日謝罪のうえでグッズや観戦チケットが贈られる、という例も。
ただし、これはあくまで配慮であり、法的な責任を認めたものではありません。
また、自身が加入している傷害保険・医療保険で対応できるケースもあるため、観戦前に保険内容を確認しておくことも安心材料になります。
球団側の責任が問われる例外とは?
自己責任が原則とはいえ、過去には球団や球場の落ち度が問題となった事例もあります。
特に以下のようなケースでは、責任が問われる可能性があります。
- 防球ネットに不備があった(破損や設置ミス)
- 事前の注意喚起が不十分(アナウンス・掲示不足)
- 売店や階段など視界が遮られる構造の場所で被害
たとえば、飲食エリアで並んでいて打球が飛んできた、というように、観客側がグラウンドに注意を向けられない状況で起きた事故では、球場側の安全配慮義務が問われることがあります。
こうした場合には、損害賠償請求が認められる可能性もゼロではありません。
しかし、これらは非常に限定的で、よほどの管理不備や構造的な問題が認められたときに限られます。
現実には「事故=自己責任」となるのが圧倒的多数です。
観戦を安全に楽しむために知っておきたい3つのこと
事故を未然に防ぐには、まず「自分の身は自分で守る」という意識が必要です。
以下のような観戦対策を心がけることで、リスクを大きく下げることができます。
- 防球ネット付きの席を選ぶ
特に小さな子どもや高齢者がいる場合は、内野席の防球ネットエリアやファミリーシートを選ぶと安心です。 - スマホや飲食中も姿勢は前向きに
グラウンドが見えない姿勢で油断していると、とっさの反応が遅れてしまいます。写真撮影や食事の際も、できるだけ視野を確保しましょう。 - 「危ない!」の声が聞こえたら、まず体を守る
人はつい見てしまいがちですが、それよりもうずくまって頭と顔を腕で覆うのが正しい反応。見ることよりも守ることを優先しましょう。
まとめ
プロ野球の生観戦は臨場感や迫力が魅力ですが、同時に大きな危険も潜んでいます。
打球による事故は他人事ではなく、誰にでも起こり得ること、球団や球場は原則として責任を負わないため、いざという時に備えた心構えが必要です。
「どこに座るか」「どう見るか」といった事前の準備が、家族や自分の安全を守るカギになります。
プロ野球観戦を思いっきり楽しむためにも、リスクとその対処法を知っておくことはとても大切です。
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