あなたの初任給、いくらだったか覚えていますか?
今や大企業では「初任給30万円」が当たり前の時代になりつつありますが、その裏で思わぬ逆転現象が起きているのをご存じでしょうか?
新卒より低い給料の中堅社員、辞めていくベテラン、そして企業がとった驚きの戦略…。
給料が上がって喜ぶのは、新卒だけではありませんでした。
初任給30万円の衝撃と大企業が狙う静かな選別
2025年、ユニクロ・三井住友銀行・東京海上日動など大手企業が次々と発表したのは「新卒初任給30万円以上」への引き上げ。
中には41万円スタートという例もあり、もはや「初任給=20万円台」は過去の話です。
この背景には、少子化・物価高・人材争奪戦があります。
外資系企業の高年収水準(新卒でも700万円前後)を意識し、「まずは来てもらうために給料で釣る」という戦略が鮮明になりつつあるのです。
しかし企業側も馬鹿ではありません。
高い初任給に見合うパフォーマンスを出せない人材は、早期退職のターゲットとなってしまいます。
実際、黒字企業であっても早期希望退職を募る動きが活発化、2023年には大企業57社が実施し、その人数は1.9万人に達しました。
若手にも早期退職を募るケースも増えており、これは「大量採用→数年後に選別→残すのはできる人だけ」という静かなふるい落としの始まりでもあります。
給料、俺より高いの?ベテラン社員が感じる屈辱と無力感
ここで忘れてはならないのが、既存社員との格差問題です。
特に中堅・ベテラン社員にとっては、新卒の初任給が自分の給料とほぼ同額、あるいは逆転している現実に直面し職場の空気が一変しています。
たとえば…
- 「20年近く働いてきてようやく手取り30万。それが新人にいきなり?」
- 「後輩に抜かれるなんて、やる気が削がれる」
- 「評価制度がおかしい。年功序列でもない、成果主義でもない」
こうした声が現場に溢れ、職場のモチベーション崩壊が起きるのです。
特に評価基準が不透明な企業では、やる気の空洞化が発生、「どうせ頑張っても給料上がらない」「報われない」という心理から、静かな退職(サイレント・クイッティング)や早期退職を選ぶベテラン社員がじわじわと増加中です。
これが企業全体の生産性低下につながる危険性をはらんでいます。
成果で測る時代に求められる新しいキャリア像とは?
今の時代、評価基準は「年数」ではなく「成果」、そこにAI・DX・ChatGPTのような生産性ツールが加わり、できる人の仕事が爆速化する一方で、できない人が切り捨てられる現実が加速しています。
初任給30万円も、見方を変えれば「成果が出せなければ30万円分の責任を問われる」という圧力でもあります。
企業は定時内で効率よく結果を出せる人を重視するため、昔のように「長く勤めれば評価される」価値観は崩壊、その中で生き残るには、以下のような自己進化が求められます。
- AI・ITスキルを磨く(苦手と言っていられない)
- 社内の存在意義を言語化できる(自分が組織にどう貢献しているかを説明できる)
- 感情的に折れないメンタル(逆転現象が起きても、受け止める強さ)
逆に、「給料が上がらないから辞める」「若手が高いからムカつく」という反応しかできない人は、企業側からすれば組織の足を引っ張る人材と見なされてしまいます。
まとめ
新卒の初任給30万円時代は、確かに日本の労働市場を前進させる変革です。
しかし、給料が上がった分だけ、そこに求められる成果や納得感のある制度設計がなければ、社内での分断や退職が加速しかねません。
中堅・ベテラン社員にとっては、「若手に抜かれた」と悲観するのではなく、いまからでも学び直して、自分の市場価値を上げるという行動が求められている時代です。
企業も、働く私たちも、「その額に見合った働き方ができているか」を問い直す時が来ているのではないでしょうか。
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