かつては憧れだったハイブランドの財布ですが、令和の今若者たちの価値観は大きく変化しつつあります。
そこで注目されているのは、100円ショップで手に入る「百均財布」、安さだけでなく使いやすさや見た目にも優れた百均の財布が、若者の間で急速に広がっているのです。
なぜ高級ブランドが敬遠され、百均財布が選ばれるのでしょうか…?
若者が高級ブランド財布から離れた本当の理由
かつては、ルイ・ヴィトンやグッチの財布を持つことが、大人の仲間入りのような存在でした。
若い頃から背伸びしてでもブランド財布を持つ文化は、「見栄の象徴」となっていました。
ですが今、Z世代の若者たちの中には、ブランド財布をダサいと感じる人も少なくありません。
高い財布にお金をかけるよりも、そのお金を自分の趣味や体験、スキンケアや友達との時間に使いたい、そうした「自分自身の幸福」に重きを置く考え方が広がっているのです。
見た目で判断されることに対して無関心というより、「他人の目より、自分の満足」を優先する傾向が強くなったと言えるでしょう。
キャッシュレス化が財布の存在価値を揺るがす
時代とともに財布そのものの使い道も大きく変わりました。
かつて財布の中には、現金や大量のカード、レシートなど多くのものが詰め込まれていましたが、今やその多くがスマホ一台に収まる時代です。
マイナンバーカードや保険証もデジタル化が進み、会員証やポイントカードはアプリで管理、支払いもスマホ決済が主流となったことで、大きくて重い財布は持ち歩く理由を失いつつあります。
さらに、ファッションの面でもミニバッグの人気が続き、大きな財布は物理的に不便だと感じる人が増えています。
こうした社会的・技術的な変化が重なり、財布には「収納力」よりも「軽さ」や「コンパクトさ」が求められるようになりました。
SNS発「百均財布界隈」が話題
こうした時代の流れの中で登場したのが、「百均財布界隈」というトレンドです。
これは、100円ショップで販売されているビニールポーチやコインケースなどを財布代わりに使う文化のことで、SNSでは「#百均財布界隈」というタグで紹介され、特に10代から20代の若者を中心に拡大しています。
使われているのは、単なる安物ではなく、デザイン性にも優れたアイテムで、透明なポーチは中身が見えて便利、カラフルなデザインは見せ財布としても人気です。
中には韓国の人気キャラクターがデザインされたポーチがフリマアプリで高額転売されるケースもあり、もはや「財布=高価」という図式は完全に崩れつつあります。
しかもこの財布たちは、「気軽に買える」「使い捨て感覚」「服や気分に合わせて変えられる」など、今の若者のライフスタイルにぴったりフィットしているのです。
調査で判明!実際に使っているのは20代が最多
ある企業の調査によると、10代から40代の女性300人のうち、「百均財布を使ったことがある」と答えた人は全体の28%、年代別では20代が最も多く35%前後で使用経験ありと回答しています。
意外にも10代の使用率は最も低く、親の選んだ財布を使っているため自分の好みで選びにくい傾向があるようです。
また、日常使いというよりは、旅行やライブ、ミニバッグの日など、特定のシーンで使い分けるスタイルも多く見られました。
使った人の声には、「軽くて便利」「中身が見えて安心」「お金の管理がしやすい」など、ポジティブな評価が並びます。
ただし否定的な声も根強く、「安っぽく見える」「壊れやすい」「友達に見られたくない」といった意見もありました。
特に年齢が上がるにつれて、「長く使える本革財布の方が安心」という考えが主流のようです。
財布は機能ではなくスタイルを映す時代に
財布は今や、金銭を収納する道具というよりも、ライフスタイルを反映するアイテムとして扱われています。
現金をほとんど使わない現代において、大きなブランド財布は過剰とも言えます。
その一方で、百均財布のようなちょうどいいアイテムは、無理せず、見せすぎず、自分の価値観に寄り添う存在となっています。
服に合わせて財布を変える人がいるように、財布もファッションやTPOの一部として選ばれるようになったのです。
まとめ
若者の高級ブランド離れと百均財布の流行、その背後には、時代の大きな価値観の変化があります。
必要最低限のものを、必要な分だけ持ち、自分のライフスタイルに合った形で持ち歩く、安いからではなくちょうどいいから選ぶ、その選択の背景には自己肯定感や合理性、そして現代的なセンスが色濃く表れています。
この流れは、これからの消費行動全体にも広がっていくでしょう。
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