人間は「真理を追求するため」と称して、どこまで非人道的なことをしてしまうのでしょうか?
今回は、人類史に深く刻まれながらも、タブーとして語られる2つの驚愕の人体実験を紹介します。
知りたいけど、知りたくなかった…そう思わせる、衝撃の真実です。
3人のキリスト実験
1959年、アメリカ・ミシガン州のイプシランティ州立病院にて、一風変わった心理学実験が始まりました。
その名も「Three Christs of Ypsilanti(イプシランティの3人のキリスト)」です。
主導したのは社会心理学者「ミルトン・ロキーチ」、この実験の対象は、自分が「イエス・キリスト」であると信じて疑わない統合失調症の男性患者3人でした。
ロキーチは彼らを同室にし、共同生活をさせることで、互いの妄想が衝突し自己認識に変化が生まれるのではと仮説を立てました。
ロキーチの期待は、「他者の存在を認めたとき、自分の妄想が崩れる」というものでした。
しかし、現実は違いました。
3人は互いを「偽物のキリスト」と罵り合い、激しい口論を繰り返します。
一人は他の2人を「政府が送り込んだロボット」、また別の一人は「死んだ人間の体に魂を入れた存在」とみなし、自らの妄想を補強する方向に走ったのです。
実験は2年間続けられ、ロキーチは架空の手紙を送りつけたり、偽の情報を注入したりと人為的な介入を繰り返しました。
一部の患者は確かに穏やかになりましたが、それは妄想が収まったからではなく、互いを思いやるようになった人間関係の影響によるものでした。
最終的に誰一人として「自分はキリストではない」と認めることはありませんでした。
この実験は、のちに倫理面で強く批判されます。
患者の妄想を意図的に混乱させたこと、インフォームド・コンセントの不備、精神的ストレスを増幅させた点など、多くの問題が浮き彫りになりました。
ロキーチ自身も後年、「神のふりをする権利など、誰にもない」と述べ、この実験を悔いたと記録されています。
ヒューマンジー交配計画
人間とチンパンジーの間に子どもを作ることは可能なのか?
この驚愕のテーマに真剣に取り組んだ人物が、ソ連の生物学者「イリヤ・イワノフ」です。
20世紀初頭、人工授精技術で名声を得ていたイワノフは、異種交配研究に没頭し最終的には人間と類人猿の交配に踏み出しました。
彼が着目したのは、人間とチンパンジーが遺伝子の約98%を共有しているという事実(当時は染色体数が同じだと誤認されていた)。
この研究が進めば、進化論の証明となり宗教的思想を打ち砕けると信じていたのです。
1927年、イワノフはアフリカでチンパンジーのメスを入手しソ連に持ち帰り、人間の男性の精子を使って人工授精を行いますが、すべて失敗に終わります。
次に計画したのは「人間の女性にチンパンジーの精子を受精させる」という実験でした。
志願者は見つからず、イワノフはついにアフリカの女性たちを騙して使おうとする非人道的な計画にまで手を伸ばします。
この試みはフランス当局によって中止されましたが、狂気は止まりませんでした。
最終的にソ連で5人の女性志願者を見つけたものの、類人猿が環境に適応できず全頭が死亡し実験は中断されます。
この一連の行為は、科学の名を借りた人間実験の暴走として、現代でも強く批判され続けています。
イワノフは1930年に政治的粛清により投獄され、翌年には流刑地で脳卒中により死亡しました。
彼の計画は失敗に終わったものの、1990年代に記録が公開されたことで再び世間の目にさらされ、「赤いフランケンシュタイン」とあだ名されることになります。
まとめ
科学の進歩は私たちの生活を豊かにし、命を救ってきました。
しかし、その背後には「人間を試す」という暴力的な思想が潜んでいた時代もあったことを忘れてはなりません。
好奇心と倫理のバランスが崩れたとき、人はどこまで暴走してしまうのか…過去の過ちを振り返ることこそ、未来の科学の正しさを守る第一歩なのです。
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