サハラ砂漠といえば、広大な砂丘と灼熱の太陽が広がる世界最大級の砂漠地帯、その過酷な環境の中で驚くべき部族が存在します。
それは、「盲目の部族」と呼ばれる人々が住む村があるということです。
この部族では、生まれながらにして盲目の人々が多く、彼らはそのまま砂漠での生活を送っています。
しかし、なぜこの村では失明者が異常に多いのでしょうか? そして、現代の医学で治療はできないのでしょうか?
今回は、盲目の部族についてその謎を紹介します。
サハラ砂漠の広大さと「盲目の部族」の存在
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サハラ砂漠は、アフリカ大陸北部に広がる世界最大の砂漠で、面積はアメリカ合衆国とほぼ同じ規模の900万平方キロメートルにも及びます。
この砂漠には約2500万人が暮らし、主にモーリタニア、モロッコ、アルジェリアなどの国々に集中しており、その中でもモーリタニアの奥地にある「ダリ・ギンバ(Dali Gimba)」という村は、特異な村として知られています。
この村では、村人の約半数が盲目であり、「盲人の村」として世界的にも注目されているのです。
ダリ・ギンバの住民たちは、何世代にもわたり遺伝的に盲目の子供を生み続けており、村長の家系は7〜8世代にわたって失明の遺伝を引き継いでいるといわれています。
盲目の原因は遺伝? それとも環境?
この村の住民たちの盲目の原因について、科学者たちは長年にわたって調査を行ってきました。
その結果、ハワイ大学マノア校の人類学者サキブ・A・ウスマン氏の研究によれば、彼らの失明は「先天性白内障」によるものだと判明しました。
先天性白内障は、生まれながらにして水晶体が濁る病気であり、乳児期に発症すると視力の発達に影響を及ぼします。
通常、この疾患は適切な医療を受けることで手術によって改善される可能性がありますが、ダリ・ギンバでは医療へのアクセスが極めて困難であり、多くの子供たちが治療を受けることなく成長しているのです。
その結果、村の多くの住民が視力を持たずに一生を過ごすことになりました。
また、研究によると、この村では「常染色体優性遺伝」が関係していることが分かっています。
常染色体優性遺伝では、両親のどちらかが変異した遺伝子を持っている場合、50%の確率で子供に遺伝するとされており、結果として世代を超えて盲目の人が増えているのです。
盲目であることをどう受け止めているのか?
驚くべきことに、この村の人々は失明を「神からの贈り物」と考えています。
彼らの間には、「神がある村人に『盲目の子供が生まれ、その子孫も盲目となるだろう』と告げた」という言い伝えが残っています。
さらに、この村では「盲目の人は特別な能力を持っている」と信じられています。
特に、彼らは「地下の水脈を探り当てる力を持つ」とされており、実際に多くの井戸が発見されてきたという報告もあります。
科学的に見ると、視覚を失った人は聴覚や触覚が鋭くなることが知られており、そのため、彼らが水脈を探し当てる能力を持っているのも、感覚の鋭敏化によるものかもしれません。
盲目の村と現代医療の関わり
先天性白内障は、出生直後や幼少期に手術を行うことで改善する可能性がありますが、ダリ・ギンバでは医療へのアクセスが非常に限られており、多くの子供たちが治療を受ける機会を得られません。
また、村の人々は盲目であることを受け入れており、外部の医療介入に対して抵抗感を持っています。
そのため、政府や国際支援団体が治療を提供しようとしても、村人たちは「自分たちの文化や信念に反する」として拒むことが多いのです。
そして、「グローバルな医療介入が必ずしも現地の文化に適合するわけではない」という点が指摘されており、単純に「治療すればいい」という話ではないことが浮き彫りになっています。
まとめ
サハラ砂漠に存在する「盲目の部族」ダリ・ギンバの人々は、遺伝的な要因によって先天盲の子供が多く生まれています。
現代の医学では治療可能な疾患ですが、村人たちはそれを神の意志と考え、盲目であることを特別なものとして受け入れています。
外部から見ると、医療支援が必要な状況にも思えますが、彼らにとってはそれが「普通の生活」であり、治療を望まないケースも多いのが実情です。
文化や価値観が異なる社会に対してどのように関与すべきか、医療支援の在り方についても考えさせられる問題ではないでしょうか。
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