103万円の壁と聞いて、なんとなくわかるけど、詳しくは知らない…という人も多いのではないでしょうか?
最近、自民党が103万円の壁を「123万円」に引き上げる案を出した一方で、国民民主党は「178万円」への引き上げを提案しました。
しかし、そもそもなぜ103万円だったのか?そして、今の時代に本当に適した金額はどちらなのか?
今回は、103万円の壁が生まれた背景、現代の最低賃金と照らし合わせて「どちらが国民のためになるのか」を紹介していきます。
103万円の壁はなぜできたのか?
103万円の壁は、1974年(昭和49年)に導入されました。
この基準は、当時の最低賃金でフルタイムに近い形で働いた人が、所得税を支払わなくても済むように設計されたものです。
具体的には、
- 給与所得控除|65万円(現在は55万円)
- 基礎控除|38万円(現在は48万円)
- 合計103万円まで非課税
という形で設定されました。
1974年当時の最低賃金は全国平均で時給611円程度、これを1日7時間、週5日で働いた場合の年収は約103万円になるため、所得税がかからないように調整されていたのです。
この103万円の基準は、日本国憲法第25条の「健康で文化的な最低限の生活を営む権利」に基づいたものであり、「最低賃金で働く人が税負担によって生活に困らないようにする」ための制度だったと考えられます。
しかし、この基準は1974年以降ほとんど変わらないまま、現在に至ります。
現在の最低賃金では103万円は妥当なのか?
現在(2024年)の全国平均最低賃金は時給1,055円、これを1日7時間、週5日で働いた場合の年収は、1,055円 × 7時間 × 5日 × 52週 = 約192万円。
つまり、103万円という基準は、現在の最低賃金水準に全く合っていないことが分かります。
では、自民党が提案する「123万円」と、国民民主党の「178万円」のどちらが妥当なのか、比較してみましょう。
自民党の「123万円」では不十分な理由
自民党は103万円の壁を「123万円」に引き上げる案を提案していますが、これではまだ不十分です。
現在の最低賃金で1年間フルで働くと、約192万円になるため、123万円では依然として労働時間の調整が必要となります。
働きすぎると損をする「労働調整問題」は解決されないまま。
週4日程度の勤務なら非課税になりますが、フルタイムには対応できません。
つまり、123万円では「103万円の壁」の問題がほぼ解決しないどころか、「123万円の壁」として新たな足かせになりかねないのです。
国民民主党の「178万円」は合理的な解決策
一方、国民民主党が提案する「178万円」は、現行の最低賃金でフルに働いた場合の手取りを確保できるラインに近いため、非常に合理的です。
- 178万円 – 給与所得控除(55万円)= 課税所得123万円
- 123万円 – 基礎控除(48万円)= 課税所得75万円
所得税率5%適用 → 所得税3.75万円(住民税を加えても約10万円程度)
これにより、最低賃金でフルタイム近く働いても、手取りが大幅に減ることがありません。
「稼ぎすぎると税金で損をする」という問題が解決されます。
国民民主の178万円案は、現在の最低賃金と日本国憲法25条の「健康で文化的な最低限の生活」の理念を考えると、最も適した金額と言えるでしょう。
まとめ
103万円の壁は、1974年当時の最低賃金を基準に設計されたもので、現在の経済状況には合っていません。
自民党の123万円では依然として労働調整が必要になり、十分な改善とは言えません。
一方で、国民民主党の178万円は、最低賃金で普通に働く人が安心できる現実的なラインだと考えます。
どちらの案が国民にとってより良いと思いますか?
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