スーパーで手に取るネギ、その一本ができるまでに想像を絶する苦労があることをご存知でしょうか。
「ネギなんて勝手に伸びるでしょ?」と思っていませんか? それは大きな誤解です。
今回は、ネギ農家が抱えるリアルな苦労と誤解について深く掘り下げてお伝えします。
ネギは土の中に伸びない!?知られざる「土寄せ」と収穫の苦労
ネギは、土の中にどんどん伸びると思っている人が多いと思いますが、それは誤りです。
実際には、ネギは植えた位置から下に伸びることはありません。
成長すると葉が上に伸びていくため、そのままでは白い部分がほとんどできないのです。
そこで農家は、成長に合わせて少しずつ土をかけていきます。
この作業を「土寄せ」と呼び、何度も何度も繰り返すことで白い部分が形成されます。
つまり、ネギの白い部分は、もともと土の中にあったわけではなく、農家の手間によって作られているのです。
そんな土寄せは非常に手間のかかる作業です。
1回だけでなく、ネギが成長するごとに何度も行わなければなりません。
加えて、天候の影響を大きく受ける作業でもあります。
例えば、長雨や台風が来ると、せっかくかけた土が流されてしまい、また最初からやり直さなければならないこともあります。
乾燥しすぎても土寄せが難しくなり、ネギの成長がうまくいかなくなることもあります。
さらに、ネギは収穫の際にも大きな苦労があります。
ネギは根元がしっかりと土に埋まっているため、収穫するには1本1本手で引き抜く必要があります。
この作業は、想像以上に腰への負担が大きいのです。
特に冬場は土が固くなり、より強い力で引き抜かなければならず、負担がさらに増します。
大規模な農家では機械を導入することもありますが、小規模な農家ではいまだに手作業が基本です。
そのため、ネギ農家の中には慢性的な腰痛に悩まされている人も少なくありません。
ネギテロ!?洗濯機が2台以上必要なほどの強烈なニオイ
ネギの収穫後、農家を悩ませるのが強烈な「ネギ臭」です。
ネギは収穫時に独特の香りを放ちますが、そのニオイは作業着や体にしっかりと染みついてしまいます。
普通の洗濯機で洗ってもなかなか取れず、むしろ洗濯機自体にネギ臭が移り、他の衣類にもニオイがついてしまうことがあります。
そのため、ネギ農家の多くは作業着専用の洗濯機を2台以上用意し、私服とは完全に分けて洗濯しているほどです。
中には、1台目の洗濯機で軽く汚れを落とし、2台目の洗濯機でしっかり洗浄する「2回洗い」を実践している家庭もあります。
そこまでしないと、作業着に染みついたネギのニオイは取れませんし、それでも完全に消えるわけではありません。
そのため、一部の農家では洗濯機を倉庫や屋外に設置し、家の中にネギ臭が充満しないよう工夫しています。
ネギのニオイは非常に強力で、「ネギテロ」とも言われるほどです。
普通の人が想像する以上に、ネギ農家にとっては切実な問題なのです。
価格変動が激しい!安定しないネギ農家の収入
ネギは天候に左右されやすい野菜であるため、価格変動が非常に激しいです。
例えば、台風や猛暑でネギの収穫量が減ると、市場価格が高騰しスーパーでも値上がりします。
逆に、天候が安定して豊作になると供給量が増えすぎて価格が暴落し、農家にとってはほとんど利益が出ないこともあります。
特に、ネギは需要が一定しているため、大量に収穫できたとしても消費が追いつかず、市場価格が一気に下がることがあります。
これにより、ネギ農家の収入は年によって大きく変動し、経済的に安定しにくいという課題があるのです。
また、ネギの価格が安くなったとしても、農家の労力は変わりません。
土寄せ、収穫、選別、出荷といった作業には同じだけの時間と労力がかかるため、価格が下がるほど赤字になりやすいのです。
そのため、ネギ農家は市場の動向を常にチェックしながら、出荷のタイミングを調整するなどの工夫をしているのです。
まとめ
普段何気なく手に取るネギですが、その一本の裏には、想像を超える労力と苦労が隠されているのです。
次にネギを購入するときは、ぜひその背景に思いを馳せてみてください。
そして、無駄なく美味しく食べることで、ネギ農家の努力に少しでも報いることができるかもしれませんね。
あわせて読みたい|マタイク(mataiku)