たった一人の老人の行動が、国中の命を救った英雄と、混乱に陥れた意図しないアンチヒーロー、二人の高齢者の驚くべき実話を紹介します。
誰もが社会の一員としての影響力を考えさせられるはずです。
200万人以上の命を救ったヒーロー
ジェームス・ハリソンさんは、オーストラリアで「ゴールデン・アーム」として知られる男性、18歳から60年以上にわたり毎週献血を続け、200万人以上の命を救ったとされています。
彼の血液には「抗D免疫グロブリン」と呼ばれる特殊な抗体が含まれており、これが新生児溶血性疾患(HDN)という病気の予防に使われました。
この病気は、母親と胎児の血液型が異なる場合に発生し、治療がなければ重度の貧血や死産に至る可能性があります。
ハリソンさんの血液は、HDNを予防するための抗D製剤の原料となり、彼自身がその価値を理解した上で、生涯をかけて献血を続けたのです。
特に注目すべきは、彼が献血を始めるきっかけです。
10代の頃、彼は大手術を受ける際に他人の血液に助けられた経験があり、その恩返しとして献血を始めたそうです。
彼の「誰かを助けたい」という純粋な気持ちが、結果として国中の命を救う大きな成果を生み出しました。
また、オーストラリア政府が彼の行動を認識し、彼の血液から抗D製剤を製造する体制を整えたことも、彼の功績をさらに際立たせています。
名誉や報酬を求めることなく、自らの行動が社会に役立つという信念だけで献血を続けた彼の姿勢は、多くの人々に感動と希望を与えています。
インフラを止めたアンチヒーロー
アルメニアの75歳の女性、ハヤスタン・シャカリアンさんは、思わぬ形で国中を混乱に陥れた人物として知られています。
彼女はお金に換金できる金属を探している中で、誤って重要な光ファイバーケーブルを地中で切断してしまったのです。
このケーブルは、アルメニア、グルジア、アゼルバイジャンを結ぶ通信インフラの中核を担うもので、その損傷によってグルジア国内全域のインターネットが停止、一部アゼルバイジャンやアルメニアでも通信障害が発生しました。
ハヤスタンさんにとって、光ファイバーケーブルは単なる金属に過ぎず、それが何を意味するのか全く知りませんでした。
彼女が日常的に行っていた金属回収の作業が、偶然にも通信インフラに重大な損害を与える結果を招くとは…。
この事件では、半日以上にわたる通信停止が経済活動や日常生活に大きな混乱を引き起こし、グルジア国内では政府や企業が大きな損失を被りました。
一見すると滑稽に思えるこの出来事ですが、実際にはデジタル社会の脆弱性を浮き彫りにする重要な出来事となりました。
彼女は何も知らなかったことを訴えましたが、国中に甚大な被害を与えたため逮捕。
この事件を契機に、通信インフラの保護や管理体制の見直しが行われましたが、それ以上に現代の最先端の技術も1人の人によって壊される可能性があるということです。
まとめ
これら2つのエピソードは、どちらも「たった1人の行動が、社会全体に大きな影響を与える」ことを示しています。
ハリソンさんのように命を救う行動であれ、ハヤスタンさんのように無意識に混乱を引き起こす行動、私たちは誰もが社会の一員としての影響力を持っています。
私たち一人ひとりが、少しでも世界に良い影響を与えられる行動を選んでいけると良いですね。
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