すべてを日本に任せたい…これは、バングラデシュの市民から自然と出た言葉でした。
日本の建設会社・大林組を中心とした企業連合が手掛けた橋の建設プロジェクトは、単なるインフラ整備の枠を超え、人々の心に深い感動を残しました。
そこには、技術力以上に誠実さと約束を守る姿勢があったのです。
バングラデシュで称賛された信頼の橋

多くの国際的な建設プロジェクトでは、低価格で入札し工事を始め、途中から「追加費用」や「納期延長」を請求するのが半ば常識のようになっています。
結果として予算は膨らみ、工期は大幅に遅れることが珍しくありません。
バングラデシュでも同様のケースが繰り返され、政府も市民も「どうせ予定通りに終わらない」と諦めの気持ちを抱いていました。
そんな中、大林組が中心となって請け負った橋の建設は、国民にとって疑い半分のプロジェクトとして始まったのです。
衝撃のテロ事件と決断
2016年、プロジェクトが始まって間もなく、悲劇が襲いました。
ダッカで発生したテロ事件により、7名の日本人を含む20名以上が犠牲となったのです。
このニュースは世界を震撼させ、現場の工事は3ヶ月間ストップしました。
他国の企業は次々と撤退を決め、現地は「もう続行は無理だろう」と暗いムードに包まれます。
そんな中、日本の技術者たちは一つの決断を下します。
「私たちは残る。最後まで約束を守る。」
恐怖と不安が残る現地で、彼らは工事再開を選んだのです。
驚くべきことに、大林組とその仲間たちは、工事再開後にスピードを一気に加速させ、中断していた3ヶ月を取り戻すどころか、なんと予定より7ヶ月も早く完成させたのです。
しかも完成度は高く、国際基準を満たすどころか模範的なプロジェクトとして評価されました。
さらに驚かれたのは、コストの節約分をバングラデシュ政府に返還したことです。
普通なら会社の利益にするのが当然ですが、大林組は「国の未来のために」と潔く返金、これには政府関係者も涙を流し、「我が国で初めての経験だ」と語ったといいます。
市民たちが最も感動したのは、日本の建設会社が示した誠実な姿勢でした。
「怖くなって逃げるのではなく、最後まで残ってくれた」
「決めた期限を守ってくれた」
「お金を返してくれた」
そのすべてが、これまでの常識を覆す出来事だったのです。
現地のメディアには「国家プロジェクトは日本に任せたい」という声が広がり、日本人技術者への尊敬の念が一気に高まりました。
日本の強さは技術より人
実はバングラデシュでは、中国の企業も長年インフラ事業に関わってきました。
巨額の投資や派手なプロジェクトを展開してきましたが、市民の中には「お金のためにやっている」という冷めた見方もありました。
中国が20年かけても築けなかったのは橋ではなく信頼、一方、日本が築いたのは物理的な橋だけでなく、心をつなぐ「絆」だったのです。
このエピソードから見えてくるのは、日本の建設会社が持つ本当の強みは「技術力」以上に「人としての誠実さ」だということです。
どんなに優れた技術も、相手への思いやりや約束を守る気持ちがなければ、真の信頼にはつながりません。
バングラデシュの市民が口を揃えて「日本に任せたい」と言ったのは、単に橋ができたからではなく、一緒に未来を築いてくれる仲間だと感じたからにほかなりません。
「正直、日本の会社がここまで誠実だとは思わなかった。予定より早く終わらせて、お金まで返してくれるなんて…涙が出た。」(現地男性・30代)
「恐怖の中でも逃げずに残ってくれた姿勢が本当に感動的。日本の人たちは私たちの家族のように感じます。」(現地女性・40代)
まとめ
大林組が率いたこのプロジェクトは、単なるインフラ整備の成功例ではありません。
命の危険に直面しながらも現場に残り、約束を守り抜き、相手の国に誠実に向き合った姿勢こそが称賛された理由でした。
中国や他の国が数十年かけても築けなかった「信頼」というインフラを、日本は短期間で築いたのです。
バングラデシュ市民の「すべてを日本に任せたい」という声は、まさにその証、これからも日本の建設会社が世界中で誠実さを示し、国と国をつなぐ見えない橋を架け続けていくことを願わずにはいられません。
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