何気なく使っている使い捨てライター、カチッと押せば火がつく道具ですが、よく考えてみると、どうして電池も入っていないのに火がつくのか?と不思議に思ったことはありませんか。
今回は、使い捨てライターに隠された小さな発電の仕組みと、その意外な応用について紹介します。
火を生むカチッの正体

使い捨てライターの構造はとてもシンプルで、ボタンを押すとガスが出て、同時に「カチッ」と音を立てて火花が散り、ガスに引火して炎が生まれます。
この火花を生む仕組みこそがライターの心臓部なんです。
実はライターの内部には小さな圧電素子が入っており、そこをハンマーのような部品が瞬間的に叩くことで電圧が発生し火花が飛びます。
これを 圧電効果(ピエゾ効果) と呼びます。
物質に力を加えると電圧が生じる現象で、電池がなくても繰り返し電気を作り出せるのが特徴です。
無限に電気が生まれると表現されることもありますが、正しくは電池不要で何度も繰り返し発電ができるということ、もちろん圧電素子も物理的に摩耗するため永遠ではありませんが、ライターの寿命としては十分に長持ちする仕組みになっています。
私たちが当たり前に使っている「カチッ」という動作は、実は高度な物理現象を応用しているのです。
圧電効果とは何か
圧電効果は、特定の物質に圧力を加えると電圧が発生する現象です。
代表的なものには水晶(クォーツ)、トルマリン、そしてセラミックがあります。
ライターでは主にセラミック製の圧電素子が使われています。
圧電効果の歴史は古く、19世紀にキュリー兄弟が水晶での電圧発生を発見したのが始まりです。
以来、この現象は様々な分野で活用されてきました。
例えば、時計のクォーツ式ムーブメントも水晶の圧電効果を利用したものですし、レコード針やコンデンサーマイク、さらには病院で使われる超音波診断装置にも応用されています。
つまり、使い捨てライターの「カチッ」と同じ原理が、私たちの生活を支える数々の機器に組み込まれているのです。
火をつけるための単なる仕組みだと思われがちですが、その背景には非常に汎用性の高い科学技術が隠れています。
まとめ
ライターの「カチッ」という小さな動作、ガスに火をつけるためのきっかけが、これほど奥深い科学技術に基づいていると知ると、普段何気なく使っている道具が少し特別に見えてきませんか。
ライターをカチッとするとき、その小さな火花の裏側に潜む科学の偉大さを思い出してみてくださいね。
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