10万円でリゾートマンションが買える!そんな信じられない話が実際にあったのをご存じでしょうか?
新潟県湯沢町では、バブルの遺産ともいえるリゾートマンションが、かつては格安で投げ売りされていました。
しかし今、その激安伝説が終わろうとしています。
なぜ10万円物件が存在したのか、そして今なぜ価格が上昇しているのか、その背景を探ってみましょう。
バブル期に誕生した巨大マンション群
越後湯沢のリゾートマンション群は、1980年代後半のバブル期に一気に建設されました。
1931年に岩原スキー場が開業し、農家の民宿から始まった宿泊文化は、高度経済成長期のスキーブームとともに大きく発展、1982年に上越新幹線が開通し、東京からわずか1時間でアクセスできるようになったことで、一気に人気が高まりました。
都市部のディベロッパーは、まだ土地が安かった湯沢に目を付け、豪華な共用施設付きマンションを次々と建設、温泉大浴場、プール、ゲストルームなどを備え、冬のシーズンだけ使う別荘用にもかかわらず飛ぶように売れたのです。
当時の販売価格は1億円に達するものもあり、リゾートマンション=ステータスの象徴でした。
しかしバブル崩壊とともに状況は一変します。
スキー人口の減少に加え、マンション維持にかかる高額な管理費や修繕積立金が所有者の負担となりました。
結果として「使わない資産」を持ち続ける人が減り、物件は投げ売り状態へ、その過程でかつて1億円だったマンションが「10万円」で売りに出されるという衝撃的な事例が次々と登場したのです。
もちろん10万円というのは購入価格だけで、実際には固定資産税や月数万円に及ぶ管理費がかかります。
それでも、物件価格より管理費が高いという逆転現象が話題となり、湯沢のリゾートマンションは全国的にバブルの遺産として知られるようになったのです。
法改正がもたらす激安リゾマンの終焉
ところが2024年7月の法改正で状況が大きく変わりました。
国土交通省は空き家流通促進のため、宅地建物取引業者の仲介手数料を引き上げる特例を導入、800万円以下の物件であっても、仲介手数料は一律33万円を請求できるようになったのです。
この改正は湯沢の激安リゾマンに直撃しました。
例えば10万円の物件なら、従来は手数料5,500円程度でしたが、改正後は33万円へと一気に約60倍となり、物件本体より高い手数料が課される逆転現象となりました。
さらに、売主も33万円を支払う必要があるため、10万円で売却すれば23万円の赤字に、結果として、「10万円で買えるリゾマン」は事実上消滅し、最低価格は30万〜100万円へと引き上げられると予測されています。
湯沢マンションの今
激安物件の終焉と同時に、湯沢のリゾートマンションは新たな価値を帯びつつあります。
コロナ禍以降、リモートワークや二拠点生活の需要が高まり、東京から1時間という立地の良さが再び注目、越後湯沢駅周辺の物件は生活インフラも整っており、利便性の高さから価格はすでに上昇傾向にあります。
苗場地区のように駅から遠い地域は依然として安価ですが、それでもかつての10万円物件はほぼ姿を消し、数十万〜数百万円で取引されるケースが増えています。
ただし、実際に購入する際は、物件価格よりも管理費や修繕費、生活の利便性を重視する必要があるでしょう。
まとめ
越後湯沢のリゾートマンションは、バブル期のスキーブームが生んだ象徴的な存在です。
かつては投げ売りされ話題を集めましたが、法改正による仲介手数料の引き上げでその時代は終焉を迎えました。
現在はリモートワーク需要で再評価され、価格は回復傾向にあります。
しかし、物件の維持費や立地条件は購入後の生活を大きく左右するため、慎重な判断が求められます。
見かけ上の「安さ」に惑わされず、本当に自分の生活に合うのかを考えることこそが、湯沢リゾマンを手に入れる最大のポイントといえるでしょう。
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