博多から小倉まで、わずか一区間にもかかわらず新幹線通勤が日本一多いことをご存じでしょうか。
早朝には16両編成の新幹線が満席になるほど利用者が集中しています。
たった一区間にしては贅沢では?と思うかもしれませんが、実はそこには時間とお金の計算が隠されています。
博多〜小倉間は一区間でも日本屈指の長距離
博多〜小倉間は、新幹線で見れば一区間にすぎませんが、実際には約67kmとかなりの距離があります。
東京から横浜までが30kmほどですから、2倍以上も離れているのです。
普通列車だと1時間15分、特急を利用しても40分かかる距離ですが、新幹線ならわずか17分で到着します。
この速さは一度体験すると戻れないといわれるほどで、在来線との時間の壁は非常に大きいのです。
料金を比べても、その差は思ったほどではありません。
普通列車は1,310円、特急は1,910円、新幹線自由席は2,160円、たしかに新幹線は高めですが、わずか数百円上乗せするだけで1時間近い短縮が可能となるわけです。
特に朝の忙しい時間帯、そして帰りに早く帰宅したい人にとって、この数百円で1時間という価値観は絶大です。
新幹線定期の圧倒的なコストパフォーマンス
とはいえ、毎日新幹線に乗れば相当な出費になるのでは?と疑問に思う人も多いでしょう。
確かに新幹線自由席で毎日20日通勤すれば、往復4,320円×20日で86,400円にもなります。
これではとても現実的ではありません。
そこで威力を発揮するのが「新幹線通勤定期券(フレックス定期)」です。
この定期券を使えば1か月66,380円、通常の切符代に比べて約2万円安くなり、さらに3か月定期なら7万円近くも節約できます。
しかも新幹線だけでなく、並行する在来線の普通列車自由席にも乗れるため、行きは新幹線、帰りは在来線といった柔軟な使い方も可能です。
一方で、在来線の普通列車を20日間使った場合は 52,400円、新幹線定期との差額は約1万4千円です。
こうして数字だけを見れば、在来線の方が安いと思うかもしれませんが、ここで大事なのは「時間の価値」です。
1万4千円で39時間を買うという発想
博多〜小倉間の在来線は1時間15分、新幹線は17分、片道で58分、往復では116分もの差があります。
20日通勤すれば、合計で約2,320分=38.7時間、つまり約39時間の節約が可能になるのです。
この時間を、1万4千円の差額で買っていると考えると、1時間あたりわずか360円、自分の時給が360円以上の価値があると感じるなら、新幹線通勤は圧倒的に合理的といえるでしょう。
特に残業の多いビジネスパーソンや、家に早く帰って家族との時間を大切にしたい人にとっては、この投資は決して高くはないはずです。
さらに新幹線は在来線に比べて快適さも段違いです。
混雑で立ちっぱなしになりがちな在来線と違い、自由席なら座れる可能性が高く、移動中に本を読んだり仕事のメールを処理したりと有効な時間として活用できます。
単なる移動が、生産性のある時間に変わるという点でも、新幹線通勤は価値があるのです。
まとめ
博多〜小倉間の新幹線通勤が日本一多いのは、圧倒的な時短効果と定期券によるコスパの良さがあるからです。
さらに、家族や生活基盤の問題、企業による交通費負担、そして心理的な距離感の近さといった要素が絡み合い、引っ越しよりも通勤という選択を後押ししています。
つまりこの新幹線通勤は、単なる贅沢ではなく合理的な投資として成立しているのですね。
1時間を360円で買えるとしたら、新幹線通勤を選びますか?
あわせて読みたい|マタイク(mataiku)