経営のプロと呼ばれる経営コンサルタントが今、この業界でかつてない数の倒産が相次いでいます。
東京商工リサーチの調査では、2024年度の倒産件数は151件と過去最多を更新しました。
市場規模は拡大しているのに、なぜコンサル会社は次々と姿を消しているのでしょうか…。
過去最多を更新した倒産件数の実態
2024年度に倒産した経営コンサルタント会社は151件、前年比3.4%増で、2005年に統計が始まって以来の最多となりました。
特筆すべきはその倒産形態で、全体の96%を占める145件が破産、特別清算を含めるとほぼ消滅型倒産です。
再建型である民事再生はわずか1件にとどまり、コンサル業界が一度信用を失うと再起が極めて難しいことを示しています。
また、倒産企業の大半は小規模事業者です。
従業員5名以下が94%を占め、資本金1億円未満が98%超という数字が物語るように、誰でも開業できるが持続するのは難しいという構造的な問題を抱えています。
つまり、表面的な市場拡大の陰で、業界の足元は極めてぜい弱だったのです。
では、なぜ今これほどまでに倒産が増えているのでしょうか。
その背景には大きく3つの要因があります。
- 企業側のコスト削減
- フリー・小規模コンサルの乱立とAIの代替
- ゼロゼロ融資の返済本格化
倒産件数が過去最多を更新し、業界自体が消滅するのでは?との声すら上がっていますが、必ずしも需要が消えたわけではありません。
むしろ、DX推進、M&A、事業承継支援といった分野では今後も大きなニーズが見込まれています。
日本の中小企業は後継者不足やデジタル化の遅れといった課題を抱えており、専門知識を持つコンサルの存在は不可欠です。
さらに近年は、大手コンサル会社が人員削減を行い、そこから独立した人材がフリーとして参入するケースも増えています。
この流れは過当競争を加速させますが、同時に「コンサルを助けるコンサル」といった新たなサービス形態が生まれる可能性も否定できません。
まとめ
経営コンサル業界は今、最大の淘汰の波に直面しています。
しかし、需要そのものが消えたわけではなく、DXや事業承継といった分野ではむしろ拡大が見込まれます。
今後の生き残りの条件は「専門性」と「差別化」、古いモデルに依存する経営のプロは淘汰され、新しい知識とスキルを持つコンサルだけが次の時代を切り開いていくでしょう。
あわせて読みたい|マタイク(mataiku)