ガソリン価格が高騰し続けるなか、「あれ?コストコって他より20円くらい安くない?」と感じたことがある人も多いのではないでしょうか。
全国平均が180円台を超える今、コストコのレギュラー価格は155円前後、なぜここまで安くできるのか?何か裏があるのでは…と思ってしまいますよね。
実はその裏には、「ガソリンで儲けない」という異常ともいえる経営戦略が隠されていたんです。
今回は、コストコのガソリンが格安な理由と、その背後にあるビジネスモデルを紹介します。
安すぎるコストコのガソリン、その実態とは

2025年5月現在、全国のレギュラーガソリン平均価格は175円〜185円/Lという水準にあります。
一方、コストコのガスステーションでは155円/L前後で販売されており、20円以上の価格差があるケースも珍しくありません。
この差、単なる価格競争ではなく、コストコはガソリンに利益を求めていない!?
その驚くべき構造を、以下から詳しく見ていきましょう。
理由① 会員制だからこそ実現できる逆転の価格構造
コストコは、年会費4,840円を支払う会員制の倉庫型スーパーマーケットです。
スーパーと聞くと「商品で儲けている」と思うかもしれませんが、実際には利益の柱は年会費と大量仕入れによるスケールメリットです。
つまり、ガソリンに利益を求める必要がありません。
むしろ「原価ギリギリでも構わないから集客につなげたい」というのが本音、結果周辺のスタンドよりも圧倒的に安い価格でガソリンを提供できるというわけです。
来店した会員が「ガソリンを入れるついでに店内でまとめ買い」してくれれば、コストコにとっては十分に元が取れる仕組みになっています。
ガソリンが呼び水で、売上は別のところで回収する、それがコストコのビジネスモデルの凄さなのです。
理由② 完全セルフ&キャッシュレスで人件費を極限まで圧縮
もうひとつの大きな要因は、徹底したコスト削減のオペレーション設計です。
コストコのガスステーションは全店共通でセルフサービス方式を採用しておりスタッフは最小限にとどめています。
給油案内や安全誘導のみを担当し、支払いや給油そのものはすべて顧客自身が行います。
さらに支払い方法は、マスターカードのクレジットカード、またはコストコ専用プリペイドカードに限定、現金は一切使えない仕組みになっており、現金管理業務や釣り銭トラブルなどのコストを完全に排除しているのです。
この仕組みにより、人件費・運営費・システム管理コストが極限まで抑えられ、その分が価格にダイレクトに反映されています。
理由③ 燃料販売に特化した超シンプル戦略
コストコのガスステーションには、他のガソリンスタンドにありがちなオイル交換や洗車、コンビニのような売店などが一切ありません。
販売しているのはガソリン・軽油・灯油のみで、サービス内容は極限まで絞られています。
余計な設備投資をせず、サービスも限定することでランニングコストも人材配置も最小限に抑えています。
つまり、売上に直結しない業務をすべて排除しているわけです。
一般的なスタンドでは「給油だけでは利益が出ないため他のサービスを併設する」というのが通例ですが、コストコはまさにその逆、利益を出さない前提だからこそ、極限まで割り切った効率運営が可能になっているのです。
理由④ 圧倒的スケールで仕入れも安い
世界で800以上の店舗を展開しているコストコは、ガソリンの仕入れにおいても極めて有利な立場にあります。
公式には仕入れ先は明かされていませんが、業界では「中間業者を排して、石油元売会社と直接取引している」と言われています。
これは、年間を通じて膨大なガソリンを供給することが可能なためで、一店舗単位では絶対に実現できない価格交渉力を持っていることが背景にあります。
他の格安スタンドが、業転玉(余剰ガソリン)に依存している一方、コストコは安定した大量仕入れが可能であり、供給不安もなく価格競争力を維持できるのが大きな違いです。
理由⑤ 地域ごとに価格を調整、常に「最安値帯」をキープ
コストコのガソリン価格は全国一律ではありません。
店舗ごとに周辺スタンドの価格を調査し、それに合わせて価格を柔軟に調整しています。
例えば地方都市では価格差がより顕著で、近隣より30円以上安いケースもあるほどです。
これは、コストコが「会員の満足」を重視しているからであり、他の店舗より少しでも安くすることで、お得感を演出しているのです。
つまり、どのエリアに住んでいても「コストコのガソリンは安い」と実感できるように、綿密な価格設計とローカル戦略が導入されているということです。
安い=粗悪はウソ、国家基準で守られた安心品質
ここまで安いってことは、さすがに質が落ちるんじゃないの?と疑うのは当然でしょう。
でも、それは完全な誤解です。
コストコのガソリンは、すべてJIS(日本産業規格)に適合した品質をクリアしており、一般的な大手ガソリンスタンドで提供されるものと同等のクオリティです。
さらに、揮発油等の品質の確保等に関する法律、いわゆる「品確法」に基づき、10日ごとに国の認定検査機関へガソリンサンプルを提出し、定期的な品質チェックが行われています。
この制度により、異常燃焼やエンジントラブルを引き起こすような粗悪品が混入することは基本的にあり得ません。
つまり、価格が安い=品質が低いという都市伝説は完全に否定されるべきものです。
また、コストコでは店舗によっては「プレミアム(ハイオク)」も提供しており、燃費・エンジン性能にこだわる層にも対応、ユーザーの多様なニーズを満たしつつ、安全・安心な品質を保っていることは大きな強みです。
まとめ
コストコのガソリンが圧倒的に安い理由は、単に値下げをしているのではなく、緻密なビジネスモデルによって支えられています。
ガソリンで利益を追求しないという逆転の発想が、結果的に高い顧客満足と集客力を生み出しているのです。
さらに、品質面でも国家基準を満たす体制が整っており、安くても安心して利用できるという点も見逃せません。
これほどまでに消費者目線で作られたガソリンスタンドは他に例がなく、今後も家計を助ける存在として注目され続けることでしょう。
あわせて読みたい|マタイク(mataiku)