但馬牛と書いて“うし”と読む?“ぎゅう”と読む?
しかも同じ兵庫県なのに「神戸牛」もある…牛肉好きなら一度は混乱したことありませんか?
今回は、大人の雑学として、見た目は同じでも意味が変わる「但馬牛(うし)と但馬牛(ぎゅう)」の違い、さらに神戸牛との関係まですっきり解説します!
但馬牛(うし)と但馬牛(ぎゅう)は同じ?

漢字は同じ「但馬牛」なのに、「たじまうし」と読む場合と「たじまぎゅう」と読む場合があります。
これ、じつは意味の違いから来ているんです。
「但馬牛(うし)」とは、兵庫県内で生まれ育った生きている牛そのものを指す読み方で、黒毛和種の中でも特に純血の但馬系統に属し、全国の高級和牛のルーツともいえるブランド血統です。
この「うし」は、まだ出荷もされておらず肥育中の状態、いわば個体としての呼び名なのです。
一方、「但馬牛(ぎゅう)」は、食肉として精肉市場に出荷された後の名称、つまりすでに処理されて商品となったお肉に対して使われる呼び方です。
日本語では、「牛(うし)」=生き物、「牛(ぎゅう)」=肉という読み分けがあるため、但馬牛もその文脈に応じて自然に区別されています。
畜産農家や流通関係者の間では当然の使い分けですが、消費者にとっては、知ってるとカッコいい雑学になりますね。
神戸牛(ぎゅう)とは?
ここで出てくるのが「神戸牛(こうべぎゅう)」、あるいは「神戸ビーフ(Kobe Beef)」です。
高級レストランのメニューや海外のセレブの話題でよく耳にしますよね。
実はこの「神戸牛」は、但馬牛(ぎゅう)の中でも特別な条件をクリアした精鋭のみに与えられる称号なんです。
具体的には、以下のような厳しい認定基準があります。
- 兵庫県内で生まれ育った純血の但馬牛であること
- 去勢された雄牛、または未経産の雌牛であること
- 出荷時の歩留まり等級がAまたはB
- 肉質等級が4等級以上(BMS値でNo.6以上)
このような基準を満たした場合に限り、「神戸牛(神戸ビーフ)」として認定され、ブランドシールが貼られます。
つまり、すべての神戸牛は但馬牛出身ですが、すべての但馬牛が神戸牛になれるわけではないのです。
例えるなら、但馬牛は選手全体、神戸牛は代表チームといった関係です。
血統と飼育環境という土台の上に、さらに「肉質」という結果が評価される、いわば和牛のエリートが神戸牛なのです。
誤解されやすい言葉
ここで少しややこしい表現も整理しておきましょう。
動画やSNSなどでは「但馬ビーフ」という言葉も見かけますが、これ実は公式なブランド名ではありません。
「但馬牛(ぎゅう)」が正しい呼称です。
また、「神戸ビーフ」と「神戸牛(こうべぎゅう)」はどう違うの?と思われるかもしれませんが、これは基本的に同じものです。
違いは、対象とする言語やシーンです。
- 「神戸牛」=日本語での呼び方。国内向けのメニューや報道などで使用
- 「神戸ビーフ(Kobe Beef)」=英語表記。インバウンド対応や海外輸出用の表現
内容に違いはなく、表現の違いにすぎません。
観光地で「Kobe Beef」の看板を見かけたら、それは海外の方にも通じやすいブランディングの一環なのです。
まとめ
但馬牛(うし)と但馬牛(ぎゅう)、神戸牛と神戸ビーフ、同じ漢字でも読み方や使われる場面が変われば意味はまったく異なります。
特に日本の和牛文化では、血統・育成・肉質すべてにこだわり抜かれており、それぞれの言葉の使い方にも意味が込められています。
神戸牛を味わう時には、「この神戸牛は、但馬牛の中でも選ばれた存在なんだ」と思いながら、ゆっくり味わってみてはいかがでしょうか。
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