昔は100円玉1枚で楽しめたガシャポンも、今では1回300円が普通、500円〜1,000円という高額ガチャまで登場し、多くの大人が列をなして回している光景も見かけるようになりました。
子供の遊びだったはずのガシャポンが、なぜここまで大人向けにシフトしてきたのでしょうか?
今回は、その理由を紹介します。
コレクション欲とSNS映え欲
ガシャポンが大人に受け入れられ始めた大きな理由のひとつは、まさに「欲望に刺さっているから」です。
近年のガシャポンは、食品サンプルや文房具、昆虫、昭和家電といった大人が懐かしさを感じるジャンルが主流になっています。
もちろん、アニメキャラクターは不動の人気です。
しかもその再現度が極めて高く、まるで本物のような仕上がりで、中にはプロの原型師が1体ずつ手作業で制作したものや、業務用3Dプリンターで造形された精密なものもあります。
2012年に登場した「コップのフチ子」はその代表例で、SNSでバズったことで一躍大ブームになり、累計販売数2,000万個以上を記録、「大人ガチャ市場」が拡大するきっかけとなりました。
なぜここまで高くなった?
今やガシャポンの最低価格は300円、500円〜1,000円の価格帯も増えていますが、単なる値上げではありません。
背景には、製品の作り込みとコストの増加があります。
まず、近年のガシャポンはクオリティが格段に向上、造形はもちろん、塗装やギミックも精巧で、もはやアート作品レベルです。
これには当然、製造コストがかかります。
さらに、輸送費やパッケージ資材費、設置店舗のテナント料などのコスト増も、価格に影響しています。
加えて、ほとんどのガシャポンは海外生産のため、円安の影響も大きい要因です。
結果として、「高いけど、それだけの価値がある」と感じさせる商品が増えています。
ガシャポンは買う側だけでなく、売る側にとっても魅力的なビジネスモデルです。
理由は、無人運営が可能で、人件費がほとんどかからず、狭いスペースに大量設置できる点にあります。
この利便性の高さから、駅ナカや商業施設、家電量販店の一角などに「ガシャポンのデパート」「バンダイオフィシャルショップ」などの専門店が次々と誕生しました。
コロナ禍以降、非接触型販売が評価され、設置台数はますます増加、メーカー側も、「定価で必ず売れる」「返品リスクがない」という利点から、大人向けの「高単価・高品質商品」に注力するようになっているのです。
外国人観光客にも刺さる日本カルチャーとしての価値
最近は、ガシャポンがインバウンド需要にもマッチしている点も見逃せません。
訪日観光客の中には、ガシャポンを「日本らしいおみやげ」として購入する人が増えており、SNSにもたびたび「日本でガチャを回してきた!」と投稿される光景が見られます。
特に人気なのは、アニメキャラクター、和風雑貨、寿司モチーフ、伝統玩具、昭和風ミニチュアなど、海外にはない独自のジャンル展開とクオリティが、ジャパンカルチャーとして注目されているのです。
まとめ
今のガシャポンは、もはや「子供の遊び」ではありません。
コレクション欲、SNS映え、設置のしやすさ、海外ウケ、それらが重なり合って、ガシャポンは大人のアイテムとして再定義されつつあります。
これから先も、技術とアイデアが融合した「超進化系ガシャポン」は、私たちの生活の中で驚きとワクワクを提供し続けてくれるはずです。
売り場で見かけたら、1回だけのつもりが深みにハマるかもしれませんよ。
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