2025年1月、ワークマン女子が撤退?という投稿がSNS上で話題を呼びました。
実際には、ワークマンは女性特化から一歩先に進み、男女どちらにも愛される新業態「Workman Colors(ワークマンカラーズ)」へと進化したのです。
その背景には、ブームに甘えず本質的なブランド力を取り戻すための戦略がありました。
#ワークマン女子誕生とブームの裏側
1980年代に職人向けの作業服専門店として誕生したワークマンは、長年「安くて丈夫」「現場の味方」という信頼を築いてきました。
しかし市場の成熟とともに、職人需要だけでは成長が鈍化、そこで2016年頃から一般消費者向けに舵を切り始めます。
2018年にはアウトドアや日常でも使える「WORKMAN Plus」を展開、2020年には女性向けに特化した「#ワークマン女子」店舗をオープンし、機能的でおしゃれ、プチプラで助かると女性層から圧倒的な支持を獲得、SNS映えを狙った投稿が相次ぎ、ブランドイメージは大きく変化、まさに作業服ブランドの革命となりました。
デザイン重視がもたらした成長の壁
人気が急上昇する中で、ブランドは次第におしゃれ偏重へ傾きました。
ワークマン本来の強みだった機能性よりも、女性にウケるデザインが優先され、ポケットが少ない服や、細身で動きにくいアイテムが増加、「現場で使えない」と職人層からの不満も噴出する一方で、2023年以降のキャンプブーム終焉も追い打ちをかけ、#ワークマン女子業態の売上は前年割れに…このタイミングで2025年1月、#ワークマン女子をWorkman Colorsへ改名を発表しました。
それが撤退では?と誤解され、SNSで一気に拡散されたのです。
しかし実際は、経営不振による撤退ではなく、事業の再構築とリブランディングを目的とした業態転換でした。
Workman Colors、男女共存の進化ブランド
新ブランド「Workman Colors」は、女性だけでなく男性も取り込む共存型アパレル、商品構成は男女比1対1で、機能性とデザイン性を両立したラインナップを展開しています。
地方ロードサイド店を中心に、400店舗体制を目標としており、2025年2月には奈良県桜井市に新店舗をオープン、同時に#ワークマン女子3店舗もカラーズへ改名されました。
この転換の背景には、地方では女性人口が減少しているという現実があり、女性限定では市場が狭くより幅広い層に愛されるブランドへの変化の必要性から「女性に媚びたブランド」ではなく「誰もが使えるブランド」への新しい成長戦略といえます。
職人を忘れない原点回帰と多角展開
SNSでは「職人を軽視した」という声も上がりましたが、ワークマンは職人専用の新業態「WORKMAN Pro」を同時展開しています。
ここでは工具や防寒着など、現場目線の商品を強化し、昔ながらの顧客層にも応えています。
現在のワークマンは、職人特化の「WORKMAN Pro」、アウトドア中心の「WORKMAN Plus」、一般アパレル型の「Workman Colors」という三本柱のブランドを確立しました。
現場・日常・男女すべてをカバーする形で、ブランドの幅を広げ、原点を守りながら新しい市場を切り開くリブランディング戦略なのです。
まとめ
ワークマンは、女性特化から脱却し、誰もが使いやすいブランドへと拡張することで再び勢いを取り戻しました。
職人の信頼と一般消費者の支持を両立させる姿勢は、まさにリブランディングの教科書といえるでしょう。
ワークマンは今、過去最高益を超える新たな成長ステージへ歩み出しています。
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