家電を買おうと久々にヤマダデンキに足を運んだら、「あれ…お客、少なくない?」と感じたことはありませんか?
ネット通販全盛のこの時代、正直もうリアル店舗は時代遅れと思う人も多いのではないでしょうか。
それでもヤマダデンキは全国各地で店舗を維持し続け、売上ランキングではいまだ業界トップクラスを誇っています。
なぜこの企業は潰れないのか?その理由を深掘りしてみましょう。
実は強いリアル店舗の戦略力

ヤマダデンキはかつて、売上2兆円超えを記録したこともある日本最大級の家電量販店です。
その根強いリアル店舗戦略には、今も高い評価があります。
まず注目すべきは、土日祝の集中戦略です。
家電は高額商品が多く、購入時には家族での相談が必要になるため、来店は自然と週末に集中します。
郊外型店舗が多いヤマダでは、車で来やすい広い駐車場を完備していることも強みの一つで、また店舗のレイアウトにも工夫があります。
1階にはスマートフォンや小型家電など人気商品を集めて来店者の目を引き、2階奥には冷蔵庫や洗濯機などの大型家電を配置、計算された導線設計で購買意欲を自然に引き出す動線を構築しています。
そして最大の武器が「他店より安くします」という価格保証、多くの消費者が少しでも安く買いたいと考えるなかで、ヤマダデンキはこの心理をしっかり捉えています。
スタッフが多く見える理由は人件費のカラクリ
店員ばかりでお客がいない、というネット上の指摘に違和感を覚えた人もいるでしょう。
確かに平日の店舗は閑散として見えることがありますが、ヤマダデンキの店内スタッフには、自社の社員だけでなく各家電メーカーから派遣された販売員が多く含まれています。
つまり、見かけ上は社員だらけに見えても、実際はメーカー側が人件費を負担しているケースも多いのです。
平日の社員数を意図的に絞り人件費の最適化、平日は赤字覚悟で店舗を維持しつつ、週末にしっかり利益を回収する構造となっています。
こうした現場の仕組みは、多くの消費者に知られていないヤマダデンキの影の経営戦略とも言えるでしょう。
生活総合企業へのシフト
電気屋の枠を超えている…これは現在のヤマダデンキを象徴する言葉です。
実はヤマダデンキはすでに、家電販売だけでなく住宅や保険、不動産、リフォーム、スマートホーム事業にも進出しています。
その代表格が「ヤマダホームズ」、家と家電をセットで販売するというパワープレイ戦略で、住宅展示場に家電を組み込んだモデルルームを展開、もはや電気屋というより、暮らし全体を設計・販売する企業へと進化を遂げています。
また、公式ECサイト「ヤマダウェブコム」やモール型通販「ヤマダモール」も運営、ネットとリアルを融合したハイブリッドモデルで、コロナ禍を含む通販ニーズにも的確に対応しています。
これにより、リアル店舗でサイズ確認 → ネットで購入 → 店舗受け取りというような新たな購買導線の創出も実現、消費者の不安・不満をカバーする施策としても高く評価されています。
まとめ
ヤマダデンキの現場には、かつてブラック企業として批判された過去もあります。
しかし現在、ヤマダデンキは経営戦略を根本から見直し、家電の価格戦争に勝ち続ける仕組みと生活インフラ企業への転換で再び脚光を浴びています。
リアル店舗の価値を再定義し、ネットとの融合で時代の変化に対応する。
そして、単なる家電屋ではなく、暮らしを支える総合提案企業として新たなステージに挑み続けている。
それが、「ヤマダデンキとは何か?」という問いに対する、今の答えなのかもしれません。
あわせて読みたい|マタイク(mataiku)