日差しがやわらかく窓辺を照らす。
私、美咲は、網戸から入る風が家の中を静かにさわやかにしていた。
子どもがバイトに行って、夫が仕事に出て、私一人の時間がやってきた。
静かな時間を楽しむことが日課になっていた。
でも、今日は違った。
心は落ち着かず、不安が漂っていた。
愛と感情の深層
私の娘、真紀が初めて彼氏を家に連れて来る日だった。
それは喜ばしいことだったはずだ。
だが、その彼氏、透が48歳だという事実に私の心は揺れていた。
彼は私の夫、即ち真紀の父親と同じ歳だ。
これが現実だと受け入れられない感情が、私の胸を締めつけていた。
ドアベルが鳴り、心臓が高鳴る。
それは透だ。
目の前の彼は、彼の年齢を感じさせない若々しい風貌を持っていた。
彼の眼差しは、知的で、落ち着いた態度はあたたかさを感じさせた。
私は不安を抱きながらも、夕食を準備した。
ダイニングテーブルで、透は真紀と話を交わしていた。
私は彼らの横顔を見ながら、心に矛盾した感情が芽生えてくるのを感じた。
透は娘と同じように、生き生きとした話をし、笑顔を絶やさなかった。
彼の表情は優しく、思慮深さが溢れていた。
見ているだけで、心が揺れる。
彼の存在は、私の心の中で何かを揺さぶっていた。
夕食が終わると、透は私に向かって微笑んだ。
その微笑みは、夕日に染まる窓越しの彼の顔を柔らかく照らしていた。
「美咲さん、料理がとても美味しかった。ありがとうございます。」
彼の声は低く、温かだった。
その瞬間、私の心は驚きと興奮で満ち溢れた。
彼は、同じ年齢の夫とは違い、落ち着いた魅力と包容力を持っていた。
私は彼の視線から逃れられず、私の心は彼に引き寄せられていった。
それは罪悪感と共に、だが否応なく。
彼の瞳は、どこか遠い場所を見つめていたように思えた。
夕食の後、真紀と透はリビングに移動した。
私は彼らを見つめて、自分自身と向き合った。
私の心が揺れているのは、本当に真紀のことを心配しているからだけではなかった。
ある種の、言葉にできない惹かれる力が私を彼に向かせていた。
その夜、彼が帰った後、私はリビングでぼんやりと考えていた。
真紀が、幸せそうな顔をしていたのを思い出し、私は一瞬、安堵した。
彼女の笑顔は、彼に向けられていた。
彼が真紀を幸せにする能力があるなら、私が何を感じていても、それを受け入れなければならないと心に誓った。
しかしその一方で、私の心は透の存在で混乱していた。
彼の年齢にも関わらず、その魅力は私を引きつけ、彼の言葉は私の心を揺さぶった。
彼が私を見つめるたび、彼の声を聞くたび、私の心は波立ち、その感情に抗うことができなかった。
自分の感情に驚きつつも、私はこの感情を抑えることができなかった。
それは私が彼に対して抱いている、罪悪感に満ちた欲望だった。
これは一種の恋愛感情なのだろうか、それともただの欲望なのだろうか。
私は自分の感情に混乱しながら、リビングのソファーに身を沈めていた。
この感情は、私にとって新しく、未知のものだった。
これまで、私は自分が感じているこの混乱を誰にも話すことができず、ただ一人で抱えていた。
それはとても痛く、しかし同時にとても甘い感情だった。
未来はどこに向かっているのだろう。私の心の中に広がるこの感情は、何を意味するのだろう。
それを解き明かすのは、私自身だけだ。
未知の感情と向き合う私の戦いはまだ始まったばかりだった。
自分の心の中にあるこの混乱と、未知の感情と向き合うことに恐怖を覚えつつ、私はそれを否応なく受け入れていた。
次の日、私は真紀と二人きりで話をする機会を持った。
「透君のこと、好きなの?」と私は真紀に尋ねた。
彼女の顔は一瞬、驚きの色を浮かべたが、すぐに温かな微笑みに変わった。
「うん、大好きだよ。年上だけど、優しくて理解があって、尊敬する部分も多いの。」
彼女の言葉は確信に満ちていた。
私は彼女の言葉に心のどこかで安堵し、同時に自分の感情を再確認するために必要だった。
それは、私が透に対する自分の感情を、娘との関係を通じて理解しようとする試みだった。
あわせて読みたい