地球をぐるっと一周すると、なぜか1日分ズレてしまう…そんな時間のズレを調整するために存在するのが日付変更線です。
しかし、世界地図を見るとこの日付変更線、まっすぐではなくクネクネと曲がっていることに気づいたことはないでしょうか?
なぜこんなにも不思議な形になっているのでしょう…今回は日付変更線について紹介します。
そもそも日付変更線とは何か
地球は360°を24時間かけて自転しているため、1時間あたり15°ずつ回転しています。
つまり、経度が15°違うと時差が1時間生じるのです。
たとえば、東京(東経135°)とロンドン(0°)では約9時間の時差があるのもこのためです。
ここで問題となるのが、地球を一周するとどうなるのか?という疑問、西回りに地球を一周して、各地域の現地時間に合わせて時計を戻していくと、元の地点に戻ったときには1日遅れた状態になり、逆に東回りなら1日進んだことになります。
この矛盾を解消するために設けられたのが、日付変更線(International Date Line)なんです。
この日付変更線をまたぐことで、時間のズレを調整し世界共通の日付を維持しているのですね。
なぜ日付変更線はまっすぐではないのか?
日付変更線は理論上、経度180°をまっすぐに引くのが自然ですが、実際には太平洋上で大きくジグザグに曲がっています。
その理由は、同じ国や地域で日付が異なると不便だからです。
たとえば、もし日付変更線をそのまま180°に引いた場合、太平洋にある島国や領土の一部が昨日と今日に分かれてしまいます。
そのため、島国や地域の政治的・経済的な事情に合わせて、線を東西にずらしているのです。
有名な例が、キリバス共和国です。
かつては日付変更線の西側に一部の領土があり、国の中で1日違う地域が存在していました。
これでは行政手続きも混乱してしまうため、1995年に政府が自らの意向で線を大きく東にずらし、国全体を同じ日付に統一したのです。
その結果、今ではキリバスの一部は、世界で最も早く新年を迎える国として知られています。
ダイオミード諸島、昨日と明日が3kmの距離
日付変更線が実際に人々の生活に影響を与えている場所のひとつが、ベーリング海峡にあるダイオミード諸島です。
この小さな2つの島のうち、東側のリトル・ダイオミード島はアメリカ領アラスカ、西側のビッグ・ダイオミード島はロシア領で、2島の距離はわずか約3.8km、冬には海が凍り歩いて渡れることもあります。
しかし、このわずかな距離をまたぐだけで、時差はなんと約21時間!そのため、ロシア側の島は「明日の島(Tomorrow Island)」、アメリカ側は「昨日の島(Yesterday Island)」と呼ばれています。
実際には、時差が24時間ではなく21時間なのは、両国の標準時設定の違いによるものです。
まとめ
日付変更線は、地球の自転と時間のズレを調整するために作られた時間の境界線です。
本来は単純な理論線にすぎませんが、各国の領土や生活の利便性を考慮した結果、現在のような複雑な形となりました。
たった3kmで1日違う世界という事実は、地球が丸いということを改めて実感させてくれますね。
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