戦場や危機的状況で最前線に立つ特殊部隊、その中でも世界最高峰と称される「SAS」と「DEVGRU」は、圧倒的な能力と数々の成功を収めた部隊として知られています。
今回は、これらの部隊の設立経緯や特徴、そして世界中から賞賛される功績について紹介します。
SAS(Special Air Service)
SASは1941年、第二次世界大戦中にイギリス陸軍のデヴィッド・スターリング中尉によって設立。
当時、従来の戦術ではドイツ軍に対抗するのが難しいと考えられ、少人数の精鋭部隊による奇襲作戦の必要性が高まったことで、SASは敵地への潜入や重要拠点の破壊など、非対称戦闘の先駆者として誕生しました。
SASの隊員になるためには、体力・精神力ともに限界を超える選抜試験を通過しなければなりません。
その試験は、極めて過酷で多くの応募者が途中で脱落します。
また、SASは戦闘環境に合わせた柔軟な戦術を駆使することができ、都市戦、砂漠戦、ジャングル戦といったあらゆる環境での戦闘に対応可能です。
さらに、隊員は高度な訓練を受けており、諜報活動、爆発物処理、狙撃技術など、多岐にわたるスキルを習得しています。
これらの要素が組み合わさり、SASは他国の特殊部隊のモデルとなる存在へと成長しました。
イラン大使館占拠事件(1980年)は、彼らの数多くの功績の中でも特に世界に存在を知らしめました。
ロンドンで発生したイラン大使館占拠事件では、武装したテロリストが21人を人質に取り立てこもり、交渉が行き詰まり中、テロリストが人質を殺害する危険が高まったため、イギリス政府はSASに突入を指示。
SASの隊員は建物の屋上や窓から侵入、閃光弾を使用して敵を制圧し、テロリスト6人のうち5人を即座に排除し、人質19人を無傷で救出しました。
DEVGRU(Naval Special Warfare Development Group)
DEVGRU(通称SEAL Team 6)は、1980年にイラン人質救出作戦「イーグルクロー作戦」の失敗を受けて設立されました。
アメリカ政府は、特にテロリストに対抗するための精鋭部隊を必要としており、Navy SEALsの中からさらに選ばれた隊員で構成されたのが「DEVGRU」です。
DEVGRUはNavy SEALsの中でも特に優れた者だけが選ばれる部隊であり、その選抜基準は極めて厳しいものとなっています。
特に、都市部や海上での対テロ作戦においては類を見ない能力を持っており、迅速かつ正確な作戦遂行が求められます。
また、DEVGRUは通常のNavy SEALsとは異なり、敵の情報収集や分析にも深く関与し、作戦の計画段階から直接的に貢献します。
そのため、戦術だけでなく情報戦にも長けた部隊として知られているのです。
ウサマ・ビン・ラディンの排除(2011年) は世界的に有名な事件ですが、DEVGRUの功績も大きいです。
アルカイダの指導者ウサマ・ビン・ラディンを標的とした「ネプチューンスピア作戦」は、DEVGRUの歴史の中でも最も有名なミッションの一つ。
パキスタンのアボタバードにあるビン・ラディンの隠れ家に夜間に突入し、迅速に標的を排除しました。
この作戦は、アメリカ合衆国および全世界にとって大きな意味を持つ成功例として記憶されています。
ソマリアでの人質救出(2012年)は、DEVGRUがソマリアの武装勢力に捕らえられたアメリカ人とデンマーク人の救援活動家の救出作戦です。
夜間にパラシュートで降下、敵を完全に制圧し、人質を無傷で救出しました。
この作戦は、精密な計画と現場での的確な判断力が結実したもので、DEVGRUの能力を世界に示す結果となりました。
まとめ
SASとDEVGRUは、それぞれの国を代表する特殊部隊として、数々の危機的状況で重要な役割を果たしてきました。
SASはその柔軟な戦術と精密な作戦で評価され、DEVGRUは最新技術と対テロ専門部隊としての卓越性で世界を驚かせています。
これらの部隊の存在は、現代の安全保障において欠かせないものであり、彼らの活躍はこれからも注目され続けるでしょう。
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