ロサンゼルス・ドジャースの試合中継を見ると、バックネット裏や外野フェンスに日本企業の広告が並んでいるのを目にすることがありますよね。
ところが、実際にスタジアムを訪れた観客からは「そんな広告どこにもなかった」という声が…実はあの広告は、最先端のバーチャル合成技術によって映像上にだけ存在する広告なんです。
今回は、ドジャースが採用するこの画期的な仕組みと、そこから生まれる新たな広告ビジネスの裏側を紹介します。
驚きのバーチャル広告技術
テレビ中継で見るドジャーススタジアムのバックネット裏は、日本企業のロゴがズラリと並んでいますが、現地には緑色の壁(グリーンバック)があるだけです。
この壁は、映画撮影などで使われるクロマキー技術と同じ原理で、映像配信時にCG広告をリアルタイム合成するための背景になっています。
この仕組みを支えるのが、MLBが導入する「Virtual Ad Insertion(バーチャル広告挿入)」という最新技術、国や地域ごとに異なる映像信号を配信し、アメリカでは現地企業、日本では日本企業、韓国では韓国企業の広告を合成して放送できるのです。
これにより、同じ映像でも視聴者の国によって広告が全く違う、というまさに次世代の広告配信モデルが実現しています。
世界中からスポンサー収益を獲得
この技術の最大の利点は、国ごとに異なるスポンサー契約が可能になることです。
つまり、ドジャースは一つの試合映像から複数国分の広告収益を得られる仕組みを構築、配信地域に合わせたマーケティングが可能にしています。
視聴者にとっても、自国ブランドの広告が自然に表示されるため、違和感がなく受け入れられています。
この技術はスポーツ中継のあり方を根底から変えたと言っても過言ではありません。
大谷翔平の影響で広告価値が急上昇
大谷翔平選手のドジャース移籍により、日本でのMLB中継視聴率は大幅に上昇しました。
それに伴い、日本企業の広告需要も爆発的に増加、2024年のドジャーススタジアム外野フェンス広告(ガイアウォール)は、年間650万ドル(約9億4,000万円)に達し、大谷選手加入前の50万ドル(約7,000万円)からおよそ13倍に跳ね上がりました。
1試合あたりのバックネット裏の広告費用は1億〜3億円規模とも言われており、まさに「大谷効果」は絶大で、今やドジャースの広告戦略は単なる野球チームの収益構造を超えたグローバルビジネスモデルに進化しています。
スポンサー各社も、世界的な露出効果を狙って競うように枠を確保しており、広告価値は今後さらに高騰していくと見られています。
まとめ
ドジャーススタジアムの広告は、テクノロジーとマーケティングが融合した新時代の広告形態です。
仮想広告という仕組みは、国や文化の壁を越え球団と企業の双方に大きな利益をもたらしています。
その中心に立つのが世界的人気を誇る大谷翔平選手、彼の存在がスポーツビジネスの常識すら変えてしまったといえるでしょう。
これからの時代、球場広告は世界に配信するものへと進化していくのです。
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