マッチングアプリを使っていると、男女で感じる手応えの差はあまりにも大きいものです。
男性の多くは「全然マッチしない」「自分に魅力がないのでは」と落ち込み、反対に女性はプロフィールを開くだけで毎日のようにいいねが届きます。
この極端な差は、表面的には個々の魅力の違いのように見えますが、実際にはアプリの構造そのものがつくり出しているものであり、ユーザーの体験を歪めてしまう仕組みが深く関わっています。
今回は、男女200人の仮想シミュレーションの結果を踏まえながら、なぜ男性がマッチしづらいのかをデータに基づいてアプリが恋愛観に与える影響について考えていきます。
理想条件では見えない現実とのギャップ
まず、男女が100人ずつ同じアプリを使い、同じ人数を閲覧し同じ確率でいいねを送るという理想的なシナリオから考えてみましょう。
この仮定の中では、男女の受け取るいいね数もマッチング数もほぼ同じで、公平な状態が再現されます。
しかし、この結果はあくまで完全に作られた世界であり、実際のマッチングアプリとは大きくかけ離れています。
現実には、男女比の偏りやアプローチの仕方、人々の魅力の分布、そしてアルゴリズムによる表示順など、あらゆる要素が公平という状態を遠ざけているのです。
そのため、多くの男性が抱く「自分だけマッチしない」という焦燥感は、個人の問題ではなく市場の歪みによって生まれる必然的な体験です。
理想の世界と現実の差が大きいからこそ、男性にとってマッチングアプリは「想像以上に戦う場」であることを理解する必要があります。
男女比の偏りが男性を不利にする理由
マッチングアプリにおける最も大きな偏りは、何といっても男女比です。
多くのアプリでは男性が女性より圧倒的に多く、人気アプリの調査では七〜八割が男性ユーザーだと言われます。
すると当然のように、女性が受け取るいいねは増え、男性はその逆になります。
単純に考えて、男性が100人いて、女性が50人しかいない場所で、50人の男性は相手がそもそも存在しないという残酷な現実が待っています。
これは個人の努力ではどうにもならない市場の問題であり、恋愛の能力や魅力以前の話です。
男性が不利だと感じているのは、実は間違っていないのではなく、構造がそう仕向けているだけなのです。
調査では、男性が46%、女性が14%の確率でいいねを押すとされています。
つまり、アプリの中では「男性は攻め側」「女性は選ぶ側」という構造が自然に形成され、本来なら現実の恋愛ではもう少し曖昧な役割分担であるはずなのに、アプリでは極端に固定化されてしまうのです。
スーパースター現象が格差をさらに拡大させる
さらに深刻なのは、人気の男女が上位のいいねを独占してしまう「スーパースター現象」です。
大手アプリのエンジニアが公開したデータでは、男性からのいいねの半分が上位25%の女性に、女性からのいいねの半分が上位15%の男性に集中していると示されています。
この現象は、アプリのアルゴリズムによって拍車がかかります。
人気ユーザーは表示される回数が増え、さらにいいねが集まり順位が上がる、逆に一般的なユーザーは表示される回数が減るため、マッチングのチャンスがどんどん減っていきます。
つまり、アプリ内の競争は、誰でも均等に努力すれば報われるという世界ではなく、構造的に格差が再生産される仕組みになっているのです。
まとめ
マッチングアプリが男性にとって厳しい場所である理由は、個々の魅力の差ではなく市場全体が抱える構造的な問題に起因しています。
大切なのは、アプリの世界が恋愛のすべてを反映しているわけではないということです。
アプリの数字や結果に過度に振り回されず、自分が本来持っている魅力を発揮できる場を見つけていくことこそが、恋愛を前向きに進めるための大きな一歩になるのではないでしょうか。
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