高級和牛として知られる松阪牛、しかしサーロインやフィレが並ぶ焼肉店や精肉店でも、松阪牛のホルモンだけはほとんど見かけないことに気づいた人は多いのではないでしょうか。
存在しないわけではないのに、なぜ幻のホルモンになってしまうのか…今回は流通量の少なさの秘密から松阪牛ならではの味の特徴まで分かりやすく紹介します。
松阪牛ホルモンが市場に出回らない理由
松阪牛は、ただのブランド牛ではありません。
その定義は、雌牛かつ未経産(出産経験なしで、)長期肥育された個体と非常に厳しい条件があり、全国の黒毛和牛の中でも生産量はごくわずかです。
したがって、1頭から取れるホルモンの量も当然少なく、通常の和牛より希少性はさらに高くなります。
また、ホルモンは精肉に比べて極端に劣化が早く、処理には高度な衛生管理と迅速な流通体制が求められます。
松阪牛の場合、解体・洗浄・冷却・検査といった工程のチェックが厳格で、ホルモンを扱える施設も限られているのです。
つまり、扱える業者が少ない・そもそもの量が少ない、という二重の条件によって流通量は極端に少なくなります。
松阪牛ホルモン、流通ルートの特性
松阪牛のホルモンは、傷みやすさから 「地元優先」 になり、とくに三重県内の焼肉店や松阪牛を一頭買いしている専門店は、鮮度の高い状態で入手できるため、ホルモンもほとんどが地域内で消費されます。
ホルモンの流通ルートは精肉よりも狭く、「迅速な冷却」「衛生的な洗浄」「個体管理」を、クリアした専門業者を経由する必要があります。
しかし松阪牛の処理を請け負える業者は数が限られており、ホルモンを安定供給するほどの量もありません。
さらに、流通しても運搬中に品質劣化を起こしやすく、業者側も「品質保証が難しいホルモンを全国展開する意義が薄い」と判断し、精肉と比べ流通ルートを広げていないのです。
結果として、松阪牛のホルモンは地元で完結する食材となり、一般市場ではほぼ見かけない状態が続いています。
松阪牛ホルモンは味が別格
松阪牛のホルモン、実際に食べた人が口を揃えて驚くのが圧倒的な脂の質です。
松阪牛は脂肪交雑(サシ)が細かく、脂の融点が低いことで知られています。
この特徴はホルモンにも反映され、脂肪の甘さ、溶け方、旨味の濃さが一般の和牛ホルモンとは段違いです。
特にミノ・ギアラ・シマチョウ・レバーなど、脂が味の決め手になる部位では差が顕著になります。
実際食べた人は、「ミノは中心の脂が濃厚で、食感とのコントラストが強い」「ハチノスは柔らかさと旨味の深さが際立つ」「レバーは血管ノイズが少なく、クリーミーで甘い」など、食べ比べると松阪牛であることが明確にわかる特徴があります。
これは、松阪牛が長期肥育によって脂の質が極限まで高められていることが大きな理由です。
松阪牛のホルモンは 、味の濃さと脂の質で最も違いが出る部位ともいえ、希少性と相まって幻の内臓肉と呼ばれる所以になっています。
まとめ
松阪牛のホルモンは、地元で消費される傾向が強く県外へ出荷される量もごくわずかなため、一般の焼肉店ではほぼ出会えません。
松阪牛の幻のホルモンは、希少性と味わいの両面で特別な存在なのです。
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