現代の日本語はスマホやSNSなどの影響で進化を続けていますが、明治・大正時代の言葉はどのように生まれ、使われていたのでしょうか?
今回は、明治・大正時代の日本語の背景や特徴、そして当時の人々が実際に使っていた言葉を、歴史のエピソードを交えながら紹介します。
明治時代どんな言葉を使っていたのか?
明治時代から大正時代にかけて、日本は大きな変革期を迎えていました。
明治維新による西洋化の流れが加速し、それまでの伝統的な言葉遣いも変わり始めました。
特に注目すべきなのは、話し言葉と書き言葉を統一する「言文一致運動」、西洋からの概念を取り入れた翻訳語の誕生、そしてオノマトペ文化の進化という3つのポイントです。
明治中期には話し言葉と書き言葉を統一する「言文一致運動」が始まり、西洋の影響を受けたこの運動は文学や新聞を通じて広がり、大正時代には話し言葉と書き言葉の差が縮小しました。
また、西洋からの概念を取り入れる中で、今まで日本語になかった言葉もたくさん生まれました。
「哲学」や「個人」など、現在でもよく使われる言葉の多くはこの時代に作られた翻訳語です。
さらに、オノマトペ(擬音語・擬態語)は明治・大正時代に急激に増加、現代でも使われる「わくわく」や「ほのぼの」などが当時の新しい感覚を反映しています。
明治・大正時代に実際に使われた言葉5選
では、明治・大正時代に実際に使われた言葉を5つ紹介しましょう。
当時の社会背景や人々の生活が垣間見える興味深い言葉ばかりです。
言文一致
明治時代に登場した「言文一致」という言葉自体が、この運動を象徴しています。
当時の文学者たちは、これまで硬い漢文調だった書き言葉を、話し言葉に近づけることで親しみやすくしようとしました。
例文:今は昔、竹取の翁というものありけり。
これがやがて「昔々、竹取の翁がいました」という形に変わっていきました。
です・ます
「です」「ます」などの丁寧語は、元々は江戸時代の「遊郭」で使われていたと言われています。
この言葉が一般化したのは、明治以降のこと。
特に女性的で丁寧なニュアンスが時代の波に乗り、現代でも基本的な敬語として使われています。
吉原の優女たちが「〜です」と話していたことが、地方から出てきた人々に影響を与えたという説もあります。
もしもし
現在では電話での定番の挨拶ですが、もともとは警察官が人を呼び止めるときに使った言葉です。
乱暴な「おい」「こら」といった表現を改め、より穏やかに呼びかける目的で生まれました。
大正時代に普及し始めた電話で、この「もしもし」が定着しました。
やばい
「やばい」という言葉は江戸時代から存在していました。
当時は「危ない」「違法行為」を指す隠語でしたが、明治時代には「ピンチ」や「まずい」というニュアンスに広がりました。
現在では「すごい」というポジティブな意味でも使われる言葉に進化しています。
「この状況、やばいぞ!」と戦場で使われていたとか…。
氷菓子(アイスクリーム)
アイスクリームは明治時代に日本に伝わり、「氷菓子」という名称で広まりました。
当時の人々には非常に斬新で、上流階級を中心に人気を集めました。
「氷菓子を初めて食べた時の衝撃は忘れられない」といったエピソードも残っています。
現代との比較
明治・大正時代の言葉を振り返ると、現代の言葉との共通点や違いに驚かされます。
明治時代から確立された敬語表現が現代にもそのまま引き継がれ、日常会話に豊かな感情表現を加えるオノマトペは、当時から今も変わらず愛されています。
一方で、現代では当たり前に使われる翻訳語も、明治・大正時代の人々にとっては全く新しい概念でした。
また、英語が本格的に取り入れられたのは明治時代以降で、これが現在のカタカナ語文化の基礎を作りました。
明治・大正時代の日本語を振り返ると、単に言葉の進化を感じるだけでなく、その背後にある文化や社会の変革を垣間見ることができますね。
まとめ
私たちが日常的に使っている言葉には、過去の人々の努力や知恵が詰まっています。
言葉は時代を超えて私たちをつなぐ重要な役割を果たしているのですね。
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