海には、食用目的ではなく、意外な形で人間に役立っている生き物がたくさんいます。
その中でも特に注目すべきなのが「アトランティックターポン」と「カブトガニ」。
この2種類の海の生き物は、独自の特徴を持ち、驚くべき方法で活用されているのです。
今回は、食用以外の目的で捕獲する海の不思議な生き物を紹介します。
アトランティックターポン
スポーツフィッシング界のスター選手!
アトランティックターポンは、西大西洋沿岸、カリブ海、そして南米のアマゾン川流域に生息する大型の魚です。
その最大の魅力は、何といってもその”銀色に輝く体”にあります。
まるで水中を泳ぐ鏡のようなアトランティックターポンの平均体長は、約1.5メートルですが、2メートルを超える個体も珍しくありません。
体重は50キログラムから100キログラム以上になることもあり、その迫力は一見の価値があります。
自然界では50年以上生きることもあり、長寿の魚として知られています。
生息環境としては、汽水域(海水と淡水が混ざる場所)を好み、マングローブや河口、浅瀬などで見られることが多いです。
また、酸素が少ない環境にも適応でき、水面に浮上して空気を直接吸うことができます。
この特性は、酸素不足の環境下で生き延びるための進化の証です。
アトランティックターポンが食用として利用されない主な理由は、その肉質の特性にあります。
ターポンの肉は、脂っぽく強い生臭さを持っているので、魚の臭いが苦手な人にはとても食べられるものではありません。
また、体内には細かい骨が非常に多く、食べる際に手間がかかるため、調理しても実用的ではありません。
しかし、アトランティックターポンは、釣りのスリルと達成感を味わいたい釣り人の間で「キング・オブ・スポーツフィッシュ」として、フロリダ州やカリブ海ではターポン釣りが観光産業の一環として地域経済に貢献しています。
その他にも工芸品として、非常に価値が高く、鱗が大きく、銀色の輝きを持つため、アクセサリーやアート作品の材料としても人気で、装飾品として高値で買い取られています。
一見、食用で楽しめないターポンですが、スポーツや工芸においては、なくてはならない存在です。
カブトガニ
医療の救世主!
カブトガニは、4億5千万年以上前からその姿をほとんど変えずに生き続けている「生きた化石」と言われています。
そのため、生物学や進化の研究においても非常に貴重な存在となっているのです。
カブトガニの体は三つの部分に分かれています。
- 馬蹄形の甲羅で覆われた前体部
- 動き回る脚が集中する中体部
- そ尾剣(びけん)と呼ばれる硬い尾の部分
この尾は主に方向を変えたり、体を起こしたりするために使われます。
カブトガニが食用に適さない理由は、食用となるほどの肉がほとんど無いためです。
一部の地域では卵を食べる文化もありますが、全体的には食材としての価値は低いものとなっています。
しかし、カブトガニは”医療や研究分野”において大きく貢献しているのです。
カブトガニの「青い血液」には、細菌毒素(エンドトキシン)に反応して凝固する特殊な成分「リムルスアメーバサイト」が含まれています。
この性質を利用して、ワクチンや注射薬の安全性試験(LAL試験)に欠かせない役割を補っています。
また、カブトガニはその希少性から研究機関や博物館で展示されることが多く「教育目的」としても活用されているのです。
食用には向かないカブトガニですが、「生きた化石」として、人間が生きていくために必要な大事な役割を担っています。
まとめ
海には、私たちが想像する以上に多くの可能性がまだまだ広がっています。
アトランティックターポンとカブトガニは、その独特な特徴を活かし、食用以外の分野で大きな役割を果たしているのですね。
このような生き物を適切に利用しながら保護することで、自然と共存する新しい道を切り開くことができるでしょう。
海の不思議な生き物たちに目を向けることで、自然環境への理解を深め、未来の可能性を広げていきたいですね!
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