フジテレビの性加害問題が大きな波紋を広げ、多くの企業がスポンサーから撤退し、CM枠が次々と空白になる異例の事態となっています。
しかし、そんな中でもテレビをつけると流れてくる「ACジャパン」のCM、なぜACジャパンの広告を続けているのか?
それは企業広告の仕組みと、ACジャパンの特異な立ち位置に理由があります。
フジテレビの性加害問題とスポンサー撤退の実態
2023年末から2024年にかけて、フジテレビの社員やタレントが関与したとされる性加害問題が報じられました。
この問題に対してフジテレビの対応は後手に回り、批判が殺到、特に記者会見での不誠実な対応や、内部調査の不備が指摘され、視聴者やスポンサー企業の不信感をさらに招く結果となりました。
こうした状況を受け、大手企業が次々とフジテレビの番組から広告を撤退、現在までに 70社以上 がCM放映を見合わせる決定を下し、今後もその数は増えると見られています。
企業側としては、自社のイメージが傷つくリスクを避けるため、問題が沈静化するまでフジテレビとの距離を置く戦略を取っているのです。
また、スポンサーの撤退はフジテレビだけでなく、系列局にも影響を及ぼしており、関西テレビでも約30社がCM提供を取りやめ、ACジャパンの広告に差し替えられる事態となっています。
こうしたスポンサー撤退の結果、テレビ番組の広告枠は大きく空くことになりました。
その結果、現在フジテレビの番組で目立つのが「ACジャパン」のCMです。
では、ACジャパンとは一体何なのでしょうか?
ACジャパンとは?広告の穴埋め役となる仕組み
ACジャパン(旧・公共広告機構)は、 営利目的ではない広告団体です。
社会貢献を目的に広告を制作し、テレビ局や新聞社、雑誌社などのメディアと協力して広報活動を行っています。
ACジャパンの特徴として以下のポイントが挙げられます。
- 会費による運営|主に1000社以上の会員企業や個人からの会費で運営されており、政府の補助金や税金は一切受けていません。
- 公共広告の制作|環境問題、公共マナー、命の大切さ、いじめ防止、防災など 社会的課題を啓発する広告を制作。
- 広告枠の無償提供|メディア企業(テレビ局や新聞社)が 広告枠を無償提供し、ACジャパンの広告を放送。
これにより、通常の企業広告が撤退した場合でも、 ACジャパンの広告が自動的に穴埋めされる形になります。
スポンサーが撤退した際、テレビ局は通常 「空白のCM枠をどう埋めるか」という問題に直面します。
しかし、ACジャパンの広告は 企業CMが入らないときの「穴埋め広告」として機能するため、スポンサーが降板するとその分ACジャパンのCMが増えるという仕組みになっています。
また、以下のような理由も関係しています。
- ACジャパンは営利団体ではないため、企業リスクがない
企業がフジテレビから撤退するのは、「この局で広告を出すと企業イメージが悪化する」という懸念があるからです。
しかし、ACジャパンは営利目的ではないため、そういったリスクを気にする必要がありません 。 - 広告枠が無償提供されるため、広告費が不要
ACジャパンはテレビ局側の判断で広告枠を埋めるために流されるため、企業のように広告費を支払う必要がありません。
したがって、広告予算の都合で撤退することもないのです。 - 過去の災害時にも同じ現象が起こっていた
2011年の東日本大震災の際にも、企業CMが自粛され、ACジャパンのCMが連続して放送されたという前例があります。
このときも、「CMがACジャパンばかりで怖い」という視聴者の声が相次ぎました。
今回のフジテレビの事例も同様で、 企業CMが戻らない限り、ACジャパンのCMが続く状況になっているのです。
今後フジテレビのCMはどうなる?
企業スポンサーがフジテレビに戻るためには、 視聴者の信頼回復が不可欠です。
そのためには、
- 不祥事に対する徹底的な説明責任を果たす
- 社内の調査体制を強化し、再発防止策を明確にする
- 視聴者や企業が安心して広告を出せる環境を整える
といった対応が求められます。
しかし、現状ではフジテレビの信頼回復には時間がかかるため、 しばらくはACジャパンのCMが続く可能性が高いでしょう。
まとめ
今後、フジテレビがスポンサーを取り戻すためには、視聴者や企業が納得できる形で信頼回復を果たすことが求められます。
それが実現しない限り、フジテレビの番組は ACジャパンのCM状態が続くでしょう。
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