印鑑=赤いインク(朱肉)というのが当たり前だと思っていませんか?
実は、赤以外の色でも問題ないのです。
そこには、歴史や文化、さらには意外な迷信まで絡んでいます。
今回は、そんな印鑑のインクに関する雑学、赤が主流になった背景など諸説を紹介します!
印鑑のインクは赤以外でもいい?法律的には問題なし!
結論から言うと、印鑑を押すインクは 赤以外の色でもOK です。
実際、黒や青のインクで押された印鑑でも、契約書や公文書での有効性に問題はありません。
ただし、ほとんどの公式な場面では赤いインクが使われるため、赤が一般的になっているのです。
では、なぜ赤が主流になったのでしょうか?
その背景には、長い歴史と文化的な要因が関わっています。
赤いインク(朱肉)が主流になった背景と歴史
江戸時代には身分制度によって使い分けられており、朱色のインク(朱肉)を使えるのは武士や官僚などの上流階級だけでした。
そのため、庶民は黒いインクしか使えなかったのです。
これは、朱色が格式の高い色とされ、公文書などに用いられていたからです。
明治時代になり、身分制度が廃止されると、庶民も赤いインクを使えるようになり、次第に「印鑑=赤」という文化が広まっていきました。
■赤色の視認性の高さ
公文書や契約書では、文字と印影の区別がはっきりする ことが求められます。
黒や青のインクで書かれた文書に赤色の印影を押せば、一目で区別がつきやすくなるため、赤いインクが好まれるようになったのです。
また、伝統的な朱肉は、硫化水銀(辰砂)や酸化鉄などの鉱物成分を含んでおり、長期間経過しても変色しにくいという特徴があります。
これが、契約書や証明書などの重要な文書に適している理由の一つです。
■中国の影響
朱肉の文化は、中国から伝わったものでもあります。
中国では古くから、皇帝や官僚の公文書には赤い印が押される習慣がありました。
この影響を受けて、日本でも公式文書や契約書には朱肉が使われるようになったと考えられます。
■血判の名残
戦国時代や江戸時代初期には、「血判状」と呼ばれる誓約書が存在しました。
これは、武士や僧侶が指を切り、血を押して誓いを立てるものでした。
この風習が変化し、「血の代わりに朱肉を使う」 ことで、公的な証明の意味を持つようになったとも言われています。
また、日本では赤色が縁起の良い色とされています。
例えば、 お祝い事での紅白などといった、こうした文化的背景から契約や証明に使われる印鑑も縁起の良い赤色が選ばれるようになったという説もあります。
■魔除け・厄除けの意味
朱色は邪気を払う色とされており、お守りや神社の装飾などに多く用いられています。
そのため、印鑑のインクにも魔除けの意味が込められていると考えられています。
赤以外のインクは本当に使えないの?
先ほども述べた通り、法律上は赤以外のインクでも問題ありません。
しかし、実際の使用においては、赤が推奨される場面が多いです。
- 銀行印 → ほとんどが赤い朱肉を使用(黒や青は認められない場合も)
- 公的書類 → 役所や企業の書類では、赤が基本
- シャチハタ(スタンプ印) → 黒インクが主流
スタンプ式の印鑑(シャチハタ)には黒いインクが使われることが多いですが、公式な場面では朱肉を使った印影が必要とされることが多いため、やはり赤が定番となっています。
まとめ
現代では、黒や青のインクで押しても問題ない場合が多いですが、公式な場面では 「赤=正式な印鑑」 というイメージが根強いため、赤いインクが使われ続けています。
普段何気なく使っている印鑑のインクも、実はこんなに奥深い歴史があるんですね!
身近なものの「当たり前」を疑ってみると、新たな発見があるかもしれませんよ。
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