かつてレンタルDVD業界を牽引していたTSUTAYAとGEO。
一昔前まではTSUTAYAが圧倒的なシェアを誇り、GEOはその後を追いかける立場でした。
しかし、サブスクリプション型の動画配信サービス(VOD)の普及により、両社の運命は大きく変わります。
TSUTAYAは急速に店舗を減らし、業績の悪化に苦しむ一方で、GEOはリユース事業を軸に売上を伸ばし続けています。
この売上逆転の理由とは何か、そして今後この業界はどうなっていくのでしょうか?
サブスクの普及とレンタル業界の衰退

近年、NetflixやAmazon Prime Video、Disney+、U-NEXTといった動画配信サービスの台頭により、消費者の視聴スタイルは大きく変化しました。
サブスクの魅力は、定額制で好きなだけ好きな時間に視聴できるという利便性の高さにあります。
これにより、レンタルDVDという形態自体の需要が激減しました。
実際、2020年代に入ってからは、レンタルビデオの市場規模は右肩下がりとなっています。
総務省のデータによれば、2010年代後半には全国のレンタルビデオ店の数は3,000店舗以上ありましたが、2024年現在では半数以下にまで減少しています。
こうした市場の縮小に対し、TSUTAYAとGEOの対応は大きく異なりました。
TSUTAYAの苦境|フランチャイズ展開の落とし穴
TSUTAYAは1990年代から2000年代にかけて、日本全国にフランチャイズ展開することで急成長を遂げました。
ピーク時には1,300店舗以上を抱え、レンタル業界の王者としての地位を確立しました。
しかし、レンタル市場が縮小すると、フランチャイズオーナーたちはロイヤリティ負担に耐えきれず撤退を決断、店舗の閉鎖が相次ぎます。
フランチャイズ方式が大きな弱点となり、現在では約600店舗まで減少しています。
フランチャイズ展開による急成長が、逆に衰退のスピードを加速させる結果となってしまいました。
■Tポイント事業の衰退
また、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、Tポイント事業で大きな収益を上げていました。
しかし、2020年以降、主要パートナーであるファミリーマートやYahoo! JAPANがTポイントから撤退、これによりTポイントの影響力は低下し、TSUTAYAにとっての大きな収益源が失われました。
■トレカ販売やカフェ併設型店舗への転換
現在、TSUTAYAはレンタル事業の縮小に対応するため、トレーディングカード(ポケモンカードや遊戯王カードなど)の販売を強化しています。
また、蔦屋書店としてカフェ併設型の書店を展開するなど新たな収益モデルを模索しています。
しかし、トレカブームが一時的なものである可能性や、カフェ事業が必ずしも成功するとは限らない点を考えると、長期的な安定はまだ見えていないのが現状でしょう。
GEOの戦略|リユース事業への早期シフト
GEOは、レンタルDVDだけでなく、中古ゲームやスマートフォン、家電の買取・販売に注力しています。
特にPlayStation 5のリユース市場の拡大や、スマホのSIMフリー端末の販売強化により、新たな収益基盤を確立しました。
また、GEOが展開するリユース事業の中核を担うのが「セカンドストリート」です。
通称:セカストでは、古着・ブランド品・家具・家電などの買取・販売を行い、リユース市場で確固たる地位を築いています。
国内だけでなく、海外にも進出し、成長を続けている点がTSUTAYAとの大きな違いとなっているのです。
■スマホ事業・格安SIMの取り扱い
さらに、GEOは近年、スマホ関連事業にも力を入れています。
一部の店舗では、中古スマホの販売や格安SIMの提供を行い、リユース市場と相性の良い事業展開を図っています。
■柔軟な事業転換による安定性
GEOの直営店中心の運営体制は、市場の変化に柔軟に対応しやすいというメリットを持っていました。
そのため、レンタルDVDの需要が低下しても、すぐに別の事業へリソースを移すことを可能にしたのです。
まとめ
今後、TSUTAYAが新規事業を成功させられるかどうかがカギとなるでしょう。
一方でGEOは、リユース市場の拡大を追い風にさらなる成長が期待できるのではないでしょう。
サブスク時代におけるTSUTAYAとGEOの戦いは、新たなビジネスモデルの構築にかかっています。
今後の展開に注目したいですね。
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