かつては夢の国に通い放題だった「年間パスポート」、そんな年パスが日本のディズニーだけで復活しないのは何故でしょうか？
世界中のディズニーパークでは続々と年パスが再開しているのに…いまだ日本だけが再開していません。
なぜ日本だけが再開できないのか？そこにはファンも知らない深くて黒い理由が隠されていたのです。
なぜ年パスは消えたのか？世界と日本で分かれた判断
東京ディズニーリゾートでは現在、年間パスポートの販売が停止されたままで、再開の見通しも立っていません。
一方で、アメリカ、フランス、香港、上海など、海外のディズニーパークではすでに年パスが再導入され、独自の仕組みで運用が始まっています。
この違いの背景には、やはり2020年のコロナ禍にあります。
全世界のディズニーパークが入場者数を制限せざるを得ない状況に陥り、パーク運営を維持するためには「1人あたりの消費額（客単価）」を引き上げることが急務となりました。
その中で問題視されたのが、年パス保持者の存在です。
頻繁に来園する反面、1回あたりの消費は少ない傾向があり、パーク側からすると「収益効率の低いゲスト」とみなされてしまったのです。
一方で、旅行や家族のイベントで来園するゲストは、入園料に加えて食事、グッズ、ホテル代なども含め、1回の来園で数十万円を使うことも珍しくありません。
そのため各国のディズニーは年パス制度を一度停止したのち、「制限付きでの再導入」という落としどころを模索する流れに入りました。
具体的には、アメリカ・カリフォルニアのディズニーランドでは「マジックキー」という年パス制度を開始、これは等級制で利用できる日数や特典に違いがあるほか、すべてのパスで「事前予約制」が必須となっています。
また、フロリダのディズニーワールドでも「入園日制限（ブラックアウト日）」や「利用者数の調整」を導入、香港や上海でも、販売価格を引き上げる一方で平日限定や期間制限付きのパスを用意し、混雑を避けながらの運用がなされています。
これにより、海外のパークでは、「無制限に入園できないように調整しつつ、ファンの来園モチベーションを維持し、混雑やキャパ超過のリスクを管理しながら、収益性のバランスを取り戻すことに成功」しているのです。
つまり世界のディズニーは、年パス制度を完全否定するのではなく、調整して活かす方向での再構築に動いたということになります。
日本だけが再開できない理由とは？
世界のディズニーパークが次々と年パスを再導入している中で、なぜ日本だけが再開できないのでしょうか？
その最大の理由は、「混雑」と「熱狂的ファン層」です。
東京ディズニーリゾートは、世界のディズニーパークと比べても敷地面積が狭く、それに対して来園者数が多すぎるのが特徴です。
しかも、コロナ以前から「混雑地獄」と呼ばれていたように、1～2時間待ちは当たり前、人気アトラクションはすぐに当日分終了という状況が続いていました。
そしてもう一つの要因が、日本独自の熱狂的ファン文化。
週に何度も訪れるガチ勢が多数存在し、パーク内での行動も多種多様、中にはアトラクションに一切乗らず、グリーティングや写真撮影だけを目的とする人もいます。
年パスがあった頃は、そういった方々の来園頻度が異常に高く、一部の常連が混雑の原因になっていたとも言われています。
こうした背景を受けて、東京ディズニーリゾートの運営会社であるオリエンタルランドは、パークの体験価値を最大化する方向へ方針転換しました。
その一環が、「有料ファストパス（プレミアアクセス）」の導入です。
以前は、誰でも無料で使えたファストパス制度が、現在は一部の人気アトラクションにおいて追加料金を支払えば待ち時間を短縮できる仕組みに変わっています。
これにより、
- 混雑時でもお金を払えばスムーズにアトラクションを体験できる
- 浮いた時間をグッズ購入や飲食に使ってもらい、客単価アップにつなげる
という狙いがあります。
また、運営側は「1日あたりの入園者数を制限」「繁忙期と閑散期のバランスを調整」することで、パーク全体の回転率と満足度を高めることを目指しています。
しかしここに、年パス制度を戻すとどうなるか？
無制限に来園できるユーザーが殺到し、せっかく整えたオペレーションが崩壊してしまうのです。
「一部の常連客のために、多数の一般ゲストが不満を抱えるリスク」、そのトレードオフをオリエンタルランドは避けているのです。
結果、日本だけが「年パスを復活できない合理的な事情」を抱えているというわけです。
夢の国に戻れないファンたちのジレンマ
年パスの廃止には、「混雑が減って快適になった」「高いけど1回の満足度は上がった」というポジティブな意見がある一方で、「気軽に通えなくなった」「長年支えてきたファンが切り捨てられた」という声も根強く残っています。
特に日常にディズニーがある生活を続けてきたファンにとって、今の運営スタイルは「非日常のためのディズニー」に戻ったようにも見えるかもしれません。
収益性とブランド維持を考えれば、運営の方針は理解できますが、それでも「またあのパレードを何度でも見たい」「ふらっと立ち寄れる夢の国に戻ってほしい」という想いは、消えることはありません。
まとめ
日本のディズニーが年パスを再開できないのは、混雑対策・ファン層の熱量・経営方針のすべてが絡み合った複雑な事情によるもので、ただの収益問題ではなく、体験価値や満足度、そしてパークそのものの「あり方」をどう描くかという、運営の根幹に関わる話なのです。
一方、海外では制限付きでも年パスを再導入することで、バランスの取れた運営を目指しています。
果たして日本でも、将来的に条件付きの復活があるのか…夢の国の未来は、運営の判断とファンの声にかかっています。
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