19世紀末にロンドンを震撼させた「切り裂きジャック」の未解決事件。
その正体は歴史の闇に消えたまま、今なお世界中の人々の関心を集め続けています。
そんな中、DNA鑑定によって有力な容疑者の特定につながる決定的な証拠が発見されたとの報道が再び話題になりました。
130年を超える時を経て、ついにこの恐るべき殺人鬼の名が明らかになろうとしているのです。
世界を震撼させた「切り裂きジャック」とは?

切り裂きジャック(Jack the Ripper)は、1888年にロンドン・ホワイトチャペルで発生した連続殺人事件の犯人として知られる通称です。
少なくとも5人の女性が、喉を切られ、体を切り裂かれるという凄惨な方法で命を奪われました。
被害者は主に当時の下層階級の女性で、犯行の残虐さから大きな社会不安が広がりました。
事件を象徴するのは、犯人自身が警察や新聞社に送りつけたとされる手紙です。
そこに署名されていたのが「Jack the Ripper」切り裂きジャックです。
以降、この名前は世界で最も有名な未解決殺人事件の代名詞となります。
当時のロンドン警察は徹底的な捜査を行いましたが、技術的限界もあり犯人の特定には至らず…そのまま「未解決事件」として130年以上もの間、謎に包まれていたのです。
DNA鑑定が浮かび上がらせた有力容疑者の正体とは
この歴史的事件に新たな展開が起きたのは2024年のことです。
民間研究者のラッセル・エドワーズ氏が所有する、事件現場で発見されたとされるショール(肩掛け)に注目が集まりました。
ショールには血液や体液が付着していたとされ、専門機関によってDNA鑑定が実施されたのです。
その結果、検出されたDNAが当時の有力容疑者の1人、アーロン・コスミンスキーの子孫と一致したと発表されました。
コスミンスキーは、事件当時に現場近くに住んでいたポーランド系移民の理髪師をしていました。
実際に被害者と一緒にいたという証言も複数あったとされています。
被害者の子孫はこの鑑定結果を受けて、英国政府の法務長官に事件の再調査(審問)の実施を要請します。
もし受理されれば、高等法院によって死因審問が行われ、130年以上の時を経て事件が正式に裁かれる可能性があるのです。
科学的には確定ではない?残る課題と今後の注目点
この報道は多くのメディアで「ついに犯人が特定された」と大きく取り上げられましたが、冷静に見ればまだ「仮説の域」を出ていません。
たとえば、
- ショールの出所や保管状態の信憑性
- DNAがいつ付着したものか(汚染の可能性)
- 鑑定結果が査読付きの科学論文として検証されていないこと
こうした点から、科学界では「まだ決定的とは言えない」という意見も根強くあります。
それでも、130年以上前の事件に現代科学の力でここまで迫れるようになったことは、大きな前進と言えるでしょう。
まとめ
切り裂きジャック=アーロン・コスミンスキー説は、これまでで最も信憑性の高い仮説として注目されています。
しかし、まだ法的にも科学的にも確定とはされていません。
今後、英国での審問が正式に始まれば、DNA鑑定結果を含めたさまざまな証拠が改めて精査されることになるでしょう。
この事件がなぜ今も語り継がれているのか…それは謎と恐怖、そして人間の好奇心を刺激し続けてきたからにほかなりません。
歴史的な未解決事件に、ついに幕が下ろされる日は来るのでしょうか…世界中がその行方を見守っています。
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