もし鳥やドローンが箱の中で飛んだら、箱の重さはどうなると思いますか?
そう聞かれて「そりゃ軽くなるでしょ!」と答えた方、9割の側かもしれません。
直感では軽くなるように思えるこの実験、実際にはまったく逆の結果になります。
今回は、見た目と裏腹な結果に驚かされる「ドローンを使った物理実験」を、実際の検証内容をもとに詳しく紹介します。
飛んでいるのに、なぜ重さは変わらないのか?

この物理実験は、以下のような手順で行われました。
- 箱の中にドローンを入れる
- 箱を密閉する
- ドローンが飛ぶ前と、ホバリング中の箱全体の重さを比較する
ドローンの重さは50グラム、箱全体はドローン込みで500グラムです。
そして驚きの結果がこちら…
「ドローンが箱の中でホバリングしていても、箱の重さは全く変わらず550グラム」でした。
「浮いてる=支えてない」じゃないの?
え、飛んでるのに重さがそのままなんておかしくない?
そう思うのも自然な反応です。
人間がジャンプすれば、空中にいる間は床を踏んでいない=体重は床にかからない=一時的に軽くなる。
これは実際に体重計でジャンプしてみると、針がふっとゼロに戻ることで確認できます。
ところがドローンや鳥のような「飛行する物体」は、その仕組みが違うのです。
ドローンが浮くとき、プロペラは激しく回転して下向きに空気を押しています。
この「空気を押す力」の反作用によって、ドローン本体は上に持ち上げられ、ホバリングしている状態が保たれています。
しかし、押された空気は箱の中を逃げ場なく進み、やがて箱の底に衝突します。
すると、この空気が箱の底をドローンの重さと同じ力で押すことになるのです。
つまり、ドローンの重さは空気を通して箱全体に伝わっているのです。
実は落下中だけは軽くなる
では、ドローンの電源を切って落下させたら?
ここがポイントです。
もしドローンが飛行をやめて「ただの落下物」としてストンと落ちると、その落下中は一時的に箱に力をかけていません。
なぜなら、ドローンも空気も自由落下している間は「支える力」を発生させないからです。
この瞬間だけは、人間がジャンプして宙に浮いているのと同じ状況で、箱はわずかに軽くなるのです。
よくある誤解「中が浮いてるなら重さはゼロになる?」
この実験が面白いのは、多くの人が直感的に「浮いている=支えていない=箱は軽くなる」と思い込むところですね。
実際には「浮いている物が何を介して浮いているか?」が超重要になるのです。
- 人間のジャンプ=床を一瞬蹴るだけで、宙に浮いた瞬間は完全に力が消える
- ドローンや鳥=空気を押し下げることで、力を継続的に伝えている
つまり、支えるメカニズムが違うから、見た目と違う結果になるということなのです。
まとめ
この実験は、物理の基本を理解するとスッキリ腑に落ちる絶妙なテーマです。
ドローンや鳥が箱の中で飛んでいても、空気を通じてその重さは箱全体に伝わっているため、重さは変わらないという結果になります。
むしろ、こうした誤解を通じて「力の伝わり方」や「作用・反作用」の理解が深まるのは物理の醍醐味ですね。
次に箱の中で何かが浮いているのを見たら、「この空気、どこに押されてるんだろう?」とちょっと考えてみたくなりますよね。
あわせて読みたい|マタイク(mataiku)