最近、自動販売機で飲み物を買う機会が減ったと感じていませんか?
実は、日本全国の自動販売機の数は2000年の約570万台から2024年には約370万台へと激減しており、ここ数年で200万台近くが姿を消したことになります。
今やコンビニやカフェが至る所にあり、キャッシュレス決済が普及する中、自動販売機はかつてのような存在感を失いつつあります。
いったいなぜ、これほどのスピードで自動販売機は減少しているのでしょうか?
自販機の数が激減した理由とは
自販機を追いやった最大のライバル「コンビニコーヒー」、かつて自動販売機の主力商品は缶コーヒーでした。
オフィスワーカーを中心に、「朝の1本」「休憩中の1本」と、日常的に買われる定番商品だったのです。
しかし、2010年代に入ると、コンビニが次々とレジ横にコーヒーマシンを導入し始めました。
これにより。淹れたてのコーヒーが100~150円程度で購入できるようになり、この影響で缶コーヒーの売上が落ちるとともに自販機全体の利用頻度も減少していきました。
「ついで買い」が減ることで、他の飲料の売上にも悪影響を及ぼしました。
さらに、日本のキャッシュレス化は急速に進み、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など多様な支払い方法が選べるコンビニでは、現金を使わずに買い物ができるようになりました。
一方で、自動販売機は現金決済が長らく主流です。
最近ではキャッシュレス対応の自販機も増えてきましたが、「導入コストが高い(1台あたり数十万円)」「運営者側の負担が大きい(手数料が発生する)」「機械のメンテナンスコストが上昇」といった理由から、普及スピードが遅くなった要因ともなりました。
その結果、自販機はますます「選ばれない存在」となってしまったのです。
人口減少と都市部・地方の変化
日本全体の人口減少は自販機にも大きな影響を与えています。
特に地方では若年層の流出と高齢化が進み、「若い世代が減り、自販機の利用者が少なくなった」「高齢者はコンビニやスーパーでの買い物を選ぶ傾向が強い」という理由で採算が取れず撤去されるケースが増加しています。
逆に、都市部ではオフィスのウォーターサーバーやカフェの普及によって、自販機の利用が減少しています。
また、「エコ意識の高まり」も影響して、ペットボトル削減の流れが強まり、オフィスや公共施設ではマイボトル持参が推奨されるケースが増えているのです。
自動販売機の新たな可能性とは?
こうした状況の中で、自販機業界も生き残りをかけた新たな展開を進めています。
最近話題になっているのが冷凍食品専用の自販機です。
「ど冷えもん」などの機種が登場し、ラーメン、餃子、スイーツなどの食品販売を24時間いつでも購入可能な利便性で、新たなビジネスモデル として注目を集めています。
また、法人向け施策として、サントリーなどの飲料メーカーは、企業向けに「社長のおごり自販機」というサービスを展開しています。
これは社員が無料または格安で飲み物を購入できる仕組みで、企業が福利厚生として導入するケースが増えています。
近年では、災害時に無料で飲料を提供できる自販機も登場しており、停電時でも作動する蓄電機能付き自販機として、自治体との連携によって、社会インフラとしての価値が見直されつつあります。
まとめ
飲料自販機が減る一方で、冷凍食品や高機能型の自販機が新たな市場を開拓しており、時代とともに自動販売機も進化し続けています。
これからの自販機がどのように変わっていくのか、注目していきたいですね。
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