夢の国、東京ディズニーランドやディズニーシーに行ったことがある人は多いはずです。
でも実は、アトラクションに隠された「法律との戦い」を知っている人はどれだけいるでしょうか?
日本のディズニーテーマパークでは、建築法や航空法、鉄道事業法など、さまざまな法律と向き合いながら世界観を壊さないための驚きの工夫がされています。
この記事を読んで裏側の物語を知れば、見慣れた景色もきっと違って見えるはずですよ。
法律や規制を回避したアトラクション3選
訪れる人々はアトラクションやショーに心を奪われ、その裏にある現実的な問題に気づくことはほとんどありません。
しかし、ディズニーパークは現実世界に存在する以上、日本の法律や規制とは切っても切れない関係にあります。
今回は、「法律違反にならないように、ディズニーがどんな工夫をしてアトラクションを実現させているのか?」という裏話を、3つの注目アトラクションを通して紹介します。
パークに行った際は、ぜひその目で確かめてみてください!
タワー・オブ・テラー
東京ディズニーシーにある大人気アトラクション「タワー・オブ・テラー」。
フリーフォール型の絶叫系アトラクションで、その迫力ある外観も魅力のひとつです。
実はこの建物、高さ59メートルに設計されています。
その理由は、航空法において60メートル以上の構造物には「航空障害灯(赤く点滅するライト)」の設置が義務付けられているからです。
構造物に航空障害灯がついてしまうと、アトラクションの持つ神秘的な世界観が台無しになります。
そのため、設計段階で「60m未満」に収める工夫がされました。
あの巨大な建物を見上げながら、「ここにはそんなギリギリの戦いがあったんだ…」と感じると、楽しみ方がまた変わってくるのではないでしょうか?
蒸気船マークトウェイン号
東京ディズニーランドのアメリカ河を航行するアトラクション「蒸気船マークトウェイン号」。
レトロな蒸気船の外観と、ゆったりとしたクルーズが魅力のアトラクションですが、船体の後方に小さく「浦安市」と表記されているのをご存じでしょうか?
これは、日本の船舶法(船舶安全法)によって、登録された船舶にはその所在地(登録地)を明記する義務があるためです。
マークトウェイン号もれっきとした「船」として登録されており、そのため「浦安市」という表記が必要になります。
もちろんディズニーはこの法律も抜かりなく対応、表示は最小限にし西部開拓時代の世界観を損なわないよう、目立たない位置とサイズで工夫されているのです。
こんな細かい配慮、さすがディズニー!ですよね!
ウエスタンリバー鉄道
東京ディズニーランドにある「ウエスタンリバー鉄道」は、蒸気機関車に乗ってジャングルや恐竜時代を巡る人気アトラクションです。
本家・アメリカのディズニーランドでは、園内交通としての機能もあり、複数の駅を設置しています。
しかし、日本のウエスタンリバー鉄道の駅は一つのみです。
どこかで乗って、どこかで降りる交通手段としての役割は持っていません。
その理由は、日本の「鉄道事業法」によって、駅が2つ以上存在すると「鉄道事業者」として国土交通省の許認可が必要になるためです。
アトラクションの枠を超えてしまい、法律上のハードルが一気に高くなってしまいます。
この規制を回避するため、東京ディズニーランドでは「駅は一つだけ」「周回して戻るだけ」の形式を採用しました。
まさに、テーマパークとしての枠を守りつつ、物語性を強化する一石二鳥の工夫といえるでしょう。
まとめ
今回ご紹介した3つのアトラクションに共通するのは、「現実の法律」と「非現実の世界観」をいかに調和させるか、というディズニーの見えない努力です。
高さ制限、船舶表示、鉄道法――どれも法律に背くことなく、かつゲストの夢を壊さないための緻密な工夫が施されています。
そのルールの中で最大限に「魔法」を届けてくれるのが、ディズニーの本当のすごさですよね。
次にパークを訪れるときは、アトラクションの裏側にもぜひ目を向けてみてください!
いつもの景色が、きっと違って見えるはずですよ。
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